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質問
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【カイside】
「んじゃ改めて自己紹介しよっか。僕は微睡(マドロミ) レイカ。微妙の微に睡眠の睡でマドロミ、ね。君は?」
マドロミさん...名は体を表すと言うけれど本当だったようだ。
さっき寝ていたのもきっといつもの事なんだろう。
「月城(ツキシロ)カイです。...よろしくお願いします」
「ふぅん、月城カイ君ね。覚えとくよ....あー、仕事するにあたって幾つか聞いておきたいんだけど」
__何だろう。人を殺したことはあるか?なんてホントに聞かれそうで怖いな。
「そうだな...まず、カイ君いくつ?」
「はぁ...21です」
「カイ君、嘘はつかなくていいよ。本当はいくつ?」
__別に嘘では無いのだが。童顔だと言われたことなども無い。
「ホントに21です...んむっ!?」
そう言うとマドロミさんは僕の顔を両手で掴み近づいたり遠ざけたりいろいろな角度から見たりしていた。
__ああこれ本当に信じてないな。
僕はしばらくされるがままになっていたが、マドロミさんは手を離すと「21...いや..まさかそんな...」とブツブツなにか呟いている。
「あのー....マドロミさん?」
「....はっ、ごめんよいやいろいろ信じられなくてね。まぁいいそんなことは。ええと.....あとは...」
__結構失礼だこの人。
「んーっと....あと何聞けばいいかな...」
__考えてないのかよ...
なんて心の中でツッコミを入れているとコツコツと足音が近づいて来るのがわかった。しかも一人の足音だけでなく、数人がこちらに向かっていることがわかった。
__まさか取り立て....いやまさかそんな。彼らは撒いたはずだ。
考えている間も近づいて来る足音に身構える。
__来る。
と思った瞬間に現れたのは黒いスーツの男達だった。
男達が現れると、マドロミさんが「あ」と嬉しそうに顔を上げた。
黒いスーツの男の一人がこちらに近づき、マドロミさんに向かって
「お迎えが遅くなり申し訳ございません」
と言うと、マドロミさんは
「本当だよ、凍死寸前だよ馬鹿め」
と悪態をついて立ち上がった。
僕も立ち上がると、マドロミさんは僕の肩を引き寄せてがっちり掴んだ。
「痛ぁ!?....ちょっとなんですかこれ」
ミシミシと音がしそうなほどの力で掴まれる。
「万が一逃げたようとした時のため~」
「いたたた!逃げないですから緩めてください!」
そう言うと、力は抜いてくれたが離す気は無いようで、僕はマドロミさんに肩を掴まれたまま路地裏を後にした。
路地裏を出ると、一台の車が停まっていた。
さっきマドロミさんに話しかけていた人が車の後部座席のドアを開けてくれる。
「乗って」
と言われ、半ば強引に車に押し込まれると、僕の隣にマドロミさんは座った。
「....レイカ様」
運転席に乗ったさっきの人が口を開いた。
「なんだいリツ君。聞きたい事があるなら20文字以内でね」
マドロミさんは心底めんどくさそうだ。
「はぁ...そちらの方はどなたでしょうか」
リツと呼ばれた人が僕の方を見ながら言う。
「えー?あー.....拾った?」
説明する気はさらさら無いようだ。それにしても適当過ぎやしないか。
「...なるほど」
納得してほしくなかった。
「...ですがレイカ様。総帥にはどうご説明するつもりで?」
マドロミさんにも上司がいるのか。てっきりマドロミさんが一番上かと思っていたのに。
「んー.....真面目に新人だって言っとくよ。まぁ、総帥なんかもうおじいちゃんだから一人二人増えたって気づかないだろうけどね」
サラっと上司をディスっている.....
「...また怒られますよ」
「し~らないっ。てか、まだ着かないの~?」
確かにかなり走ってる筈だ。窓の外を見ると全く知らない景色ばかりが走り去って行く。
「...後30分はかかるかと」
「あっそ...おやすみ」
そう言うと、マドロミさんは目を閉じて寝てしまった。
ふと窓の外を見ると、色とりどりの明かりを点す街が随分遠くに見えた。さっきまでいた路地裏は何処にいってしまったのかすらわからない。
突然肩に重みがかかる。驚いて横を見ると、マドロミさんが僕にもたれて寝ていた。
「あのー...マドロミさん」
なかなか重いんですが。
「ん....ぐぅ....」
マドロミさんは起きる素振りすら見せず人の肩にもたれて幸せそうに眠っている。
「.....」
無意識に頬を撫でると嬉しそうに擦りよってくる。
すやすやと眠る無邪気な顔はとても人を殺すような顔には見えない。
そんなマドロミさんの寝顔を見ていると、僕の意識も次第に遠ざかっていった。
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