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『 もしもし? 』
「 もしもし。大ちゃん... 」
『 どした? 』
「 知念は...知念は、元気? 」
『 うん?元気だよ... ちょ、やめろ知念!笑 』
ドクン、と鼓動が早くなる。
電話の向こう側に、知念がいる。
...多分、知念がちょっかいをかけてるんだろう。
大ちゃんも、ケラケラと笑いながら注意してる。
『 やめろって知念!笑 電話中! ...もしもし?ごめん、いきなりどうしたの? 』
「 いや...、なんでもない。ごめん急に。 」
『 待ってて、場所変えるわ。』
そう言うと、トントンと歩く音がした。
さっきまでのテレビの音もなくなって、大ちゃんの声も真剣な声になる。
『 お待たせ。気になるんでしょ?知念のこと。 』
「 うん...。明日、雑誌の仕事もあるし、どうしたらいいか分からなくて....。あの事があった次の日、圭人から電話あったんだけど、やっぱり記憶が無いみたいで。 」
『 そう、なんだ...。 知念がこっち来てからも、何回かお前の話してるんだよ。 』
「 え...? 」
『 いのちゃんも、目を背けてばかりじゃだめだって知念に言ってた。知念も、近いうちに、山田と話し合うつもりだと思うんだ。 』
「 そっか。 」
『 ...でも、一つだけわかってやって欲しいのは、あいつもかなり辛い思いしてるってこと。 』
それは俺だって同じ。あれから何回涙を流したかわからない。
『 あの日、土砂降りの中家まで来た時、涙が枯れるほど家で泣いてたんだ...。多分、知念も別れたいなんて思ってないんだよ。 』
「 ...うん。」
『 それに、少し疲れてるような顔してるんだ。きっとあれから安心して眠られてないと思う。不眠状態なら、体が危ないよ。 』
「 え... 」
『 ...だから、もし知念がお前のところに行ったら、
頼むよ...山田。 』
電話を切ってからも、大ちゃんの言葉が気になってしまう。
不眠...?大丈夫なのかな、知念...。
でも、知念につらい思いさせてるのも、きっと... いや、確実に全部俺のせい。
ごめんな、知念。
お前のこと、幸せにしてやれなくて。
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