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66 有岡side
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今日は楽しみにしてたいのちゃんとの夏祭り!
...のはずなのに。
「 どこ、ここ... 」
いのちゃんとはぐれたのは多分今から1時間ほど前。
ついさっきまで左側にいた人が、りんご飴を渡して間もない瞬間の間に居なくなってしまった。
必死に探したけど人が混んでて。
階段に座ってた人に、
「 青っぽい浴衣きた、マッシュルームヘアの男の人、見ませんでしたか? 」
って聞いたんだ。
今考えれば確かに馬鹿だった。
こんなに人がいるんだから、そんな人なんて沢山いそうなのに
にや、と笑ったその人は
「 いたよ、さっき。おいで 」
って言ったのだ。
いのちゃんを探すことに必死だったその時の俺は、罠にハマった。
俺が探してた方向と逆の方向に行くその人。
おかしいと気づいたのは、その後にその人が発した言葉だった。
「 キミさぁ、バカだよね。
知らない人にノコノコ着いてくるなんてさ。 」
しまった、と思った時にはもう遅くて、手首はしっかり掴まれてる。
どうしよう...
そう考えてると、俺の手を掴んでた男の人は誰かにぶつかった。
その反動で手首が開放される。
今しかないと思って、一目散に反対方向に逃げ出した。
なんとか逃げ出せたのはよかった..... んだけど。
薄暗い歩道橋の下、人通りも少なくここがどこら辺なのかあまりわからない。
いのちゃんに会いたい。
今にも泣いてしまいそうで、座り込んだ時。
ずっと聞きたかった声が俺の名前を呼んだ。
「 大ちゃん...! 」
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