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89 知念side
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僕は...勇気を出して、雄也に告白した。
気持ちが嬉しいって言ってくれた時、期待したんだ。
......けど、雄也が選んだのは、僕じゃなくていのちゃんだった。
その時初めて感じたんだ。
雄也は、僕なんて見てない。
いのちゃんしか、見てないんだって。
だから、最後の僕の我儘.....
そう思って、一瞬だけ雄也と唇を重ねた。
「 これで、雄也のこと、諦められるね... 」
それだけ呟いて、走り去った。
これ以上雄也を見てたら、余計辛いと思ったから。
走ってる途中は涙が止まらなかった。
右の角を曲がったところで雄也の声が聞こえて腕を引っ張られ、反動で振り返ってしまう。
涙でぐちゃぐちゃの顔を、雄也に見られて...。
雄也が腕を離した隙に逃げようとした。
「 まって... 」
雄也のか細い声が聞こえた。
「 なに...っ?なんなの?そんなに...泣いてる僕が見たい...? 」
これ以上、僕の顔を見ないで...。これ以上、好きにさせないで...。
「 俺、お前のこと何も考えてやれなくて...。好きな人に想ってるやつがいる時って、辛いのわかってんのに...
あんな事言って、ほんとにごめん... 」
「 もう...いいって...! 」
「 良くない! 」
声を荒らげた雄也に驚いて、びくっと身体を揺らす。
「 ...俺、泣いてる知念...見るの辛い。......なんて、俺が泣かしてんだよな...。 」
そう言って、雄也は僕の顔から涙を拭ってくれる。
なんで...優しく、しないでよ...
また、どんどん好きになっちゃうから......
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