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93 髙木side
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「 ...なのかよ 」
「 え? 」
意を決したように伊野尾くんが口を開く。
「 だから...俺じゃダメなの? 」
何、言ってるの?
またテキトーな事言ってるの?
「 いや、冗談は、」
「 冗談じゃないよ 」
閉まった扉で立ち止まる俺にジリジリと近づいてくる伊野尾くん。
「 俺はいつだって本気だったよ、髙木。 」
「 有岡、くんは... 」
「 ずっと本当の気持ちに気づけなかった。俺が本当に好きなのは大ちゃんじゃなくて...髙木だったんだ。 」
涙がこみ上げてきて、視界が歪む。
伊野尾くんの顔がちゃんと見えない。
でも、嘘をついてないことはちゃんとわかった。
「 お、れ...ずっと、伊野尾くんが好きで、 」
「 知ってる。待たせてごめんな?今、迎えにきたから 」
「 遅い...待ちくたびれたよ、伊野尾くん... 」
頭を撫でてくれたかと思うと
後ろまで手が滑り、後頭部を押さえつけられる。
「 ね、いい...? 」
「 ん...いいよ 」
伊野尾くん、と言い終わる前に降り注ぐ唇。
やっと、唇と共に想いが重なった。
ずっと好きで好きでたまらなかった人と想いが通じ会えたんだ。
「 大好き。 」
「 俺も好きだよ、雄也...ずっと一緒にいよう? 」
笑ったはずの伊野尾くんの目からは涙がこぼれたけど
それが悲しい方の涙じゃないということはすぐに分かった。
俺もずっと一緒にいたい。
これからも大好きだよ、“慧くん”...。
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