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我慢出来なくなって電話を掛ける
コール音がずっと聞こえるが先生が出る様子はない
一緒に食べたかったのに…
そんな俺の思いは儚く散っていってしまった
冷めたオムライスが見える。
俺もそろそろ帰らないといけない時間なのに…
深い溜息が溢れ出す
俺の頭には桐島さんの温かい手が触れ優しく撫でてくれる
それだけでも俺の心の中に張っていた氷を溶かしてくれる
もう帰ろう。
そう思ったその時、ガチャリと待ちに待った音が聞こえた
勢いよく玄関の方に首を向け帰って来た先生を見る
足元を見ていた先生は俺の靴があると分かるとゆっくりと前を向く
その顔は冷静且つ怒りも含んでいる表情だった
明らかに何かあったのだろう
「せ…んせい?」
視線は一切逸らさずに俺の元へ向かってくる先生
俺と桐島さんは立ち上がらずにはいられなかつた
「おい!どうした?」
桐島さんも心配して声を掛けるが全く反応しない
変わる事のない表情のまま俺の隣へ立ちそしてやっと口を開いた
「もう久田とは関わるな」
低い声で放たれた秋人の名字。
何で此処で秋人の名前が出て来るのか理由が分からない
「……何で」
やっと蓮以外に仲良くなれた友達が出来たのに、やっと仲良くなれたのに…
「良いから」
「詳しい説明も無しにはい、そうですか。なんて言える訳ないだろ!」
桐島さんが居るのにも関わらず声を荒げてしまう
「黙って言う事聞け!!」
珍しく大きな声を上げ終いには机を思いっ切り叩く
オムライスの存在なんてまるで見えていない
「…………意味分かんねえ」
思わず頭を抱え込んでしまう
楽しかったはずの時間は一瞬にして消されていく
「夏樹。お前自分が無茶苦茶な事言ってんの分かってる?
ちょっと頭冷やして来い」
俺たちの会話を見兼ねてか桐島さんが怒ってくれた
だが、今の先生はそんな言葉は頭に入らない
「うるせえ。これはお前には関係無えだろ
出て行け!」
変わらないボリュームの声が静まった部屋に響き渡る
初めて見る先生の姿に俺は小刻みに震えるしかなかった
「今のお前を見て出て行けると思うか?
何があったかちゃんと説明しろ!」
先生に吊られて段々と桐島さんも声を張っていく
そんな状態が俺は耐えられなくて桐島さんの名前を小さく呼んだ
「俺、大丈夫ですから…」
そう告げた意図は桐島さんにも伝わって、再び俺の頭に乗せられた手が俺の心を落ち着かせた。
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