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俺は唯一自由が利く足で思いっきり秋人の顔を蹴った
見事にかかとが頬に入り体勢が崩れる
だが、それだけだと俺の気が治らなかった
もう一発みぞおちに食らわせてやる
丸まって痛みに耐えている所を俺は足で退かせて急いで扉の方まで逃げ、縛られている両手で鍵を開けた
だが、鍵が閉まっているのはここだけではない
玄関も閉まっている訳であって、早くしないと追いかけられるかもしれない
必死に逃げて後ろも確認せず家の中を走った
階段を急いで降りるが、両手が使えないからバランスをとるのが難しくて後四段と言う所で落ちてしまった
「っくそ…ッ!」
捻ったくるぶしを引きづりながら玄関まで行く
やっと抜け出せる。そう思えば安心してか手が震える
震えた手で鍵に手を掛ける
後ろから階段を駆け下りてくる音が聞こえ俺も急いでそれを開けた
扉を開けば目の前には眉間にシワが寄った先生の顔が。
「せ……んせ…」
額に汗をかいている姿は走って来たと言う事を教えてくれる
顔を歪ませ俺にいつも着ているスーツの上着を羽織らせてくれた
何も履かずシャツもはだけている格好を隠す様に丸まった。
「……ごめんな。」
そう言って俺を優しく抱き締めてくれる
久し振りに香る先生の匂いが俺を包む
それがどんなに俺を安心させてくれたか、計り知れない。
俺は声を殺して泣いた
先生のシャツがシワを作る位握りながら。
「あーあ。後ちょっとだったのに」
玄関の靴を脱ぐ場所で座り混んでいた俺の後ろから感情なんて籠ってない声が響く
俺の抱き締めていてくれた腕がキツくなるのを感じる
「…俺が言った言葉覚えてるか」
フラリと立ち上がった先生は俺の頭をポンと撫でて秋人の元へと向かった
低い声を震わせながら。
「あ〜、何か言ってましたねえ」
拳を口に当てクスクス笑っている
こんな格好じゃなかったら俺は確実に殴りに行っていた
そんなふざけた秋人の言葉に先生は無言で襟元を掴み寄せた
そして、思いっきり握り締めた拳で秋人を殴った
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