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扉が静かに閉まった。
先生は突然止まり俺の方へと向いた
「…大丈夫か?」
心配そうな声。悲しそうな顔。辛そうな表情。
全部が俺を苦しめた
前がはだけているのに気付いた先生がそれを留めてくれる
その手は傷だらけで痛々しく、血が滲んでいた
「ッ…く…せんせ、…ごめ…っ、ごめんなさいっ」
何度も何度も流した筈の涙はとめどなく溢れて来る
こんなに必死になって俺を助けてくれた先生に感謝の気持ちと俺が何も知ら無い癖に先生に酷い事を言ってしまった罪悪感が押し潰しそうになる
泣きじゃくっている俺にボタンを留めてくれた先生が再び抱き締めてくれた
湿ったシャツは俺を大切に思ってくれている証拠だ
何も言わずただただ強く抱き締めてくれる
人目なんか気にしないかの様に。
「車取りに行くから着いて来て」
何分と包み込んでくれた後、俺の手を握り締めそう告げた
俺は頷いて先生に引かれる様に着いて行く
曲げるのもきっと痛い筈なのに俺の為に我慢して繋いで。
大きな背中は俺に安心感を与え、先生と居れば怖かった出来事も少しは薄れていく気がした
重たい足取りのまま学校に着けば校門の前で手が離される
ここには監視カメラが付いているから当たり前の行動なのだが、手の温かさが無くなっただけで寂しくなってしまう
出来ればずっと繋いでいたい。
ただの俺の我儘なんだけど…
先生の後に着いて行き教職員の駐車場に着く
久し振りの先生の車に胸が高鳴った
助手席の扉を開けてくれて、そこに乗り込む
その後に直ぐ運転席の扉が開き、先生が乗り込んで来る
俺が大好きな柑橘系の香りと先生が吸っている煙草の匂いが充満していた
煙草の匂いはあまり慣れないが、今の俺にはそれも又落ち着く内の一つだった
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