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そこはとても広くて迷子になりそうだった
人で溢れかえる店や、ゲームセンターでは子供たちが楽しそうにはしゃいでいる
「はぐれんなよ」
ポケットの中に両手を突っ込んで歩く先生
すれ違う人からの視線が浴びせられる
うわ、すっごい見られてるじゃん
想像はしてたけどここまでとは……
「さてと、決めるか」
着いた先は洋服店。今の流行をちゃんと捉えている感じのお店だった
「何を買うんですか?」
「コートかな」
その友達とやらにあげるコートは秒で決まり直ぐにレジへと向かう先生に、俺は慌てて腕を掴んだ
「そんな早く決めちゃっていいんですか!?」
「まあ、適当でいいだろ」
友達へのプレゼントをそこまでいい加減に選ぶのなんてこの人ぐらいだろう
一瞬で終わった買い物。直ぐに帰るとばかり思っていたが
先生は違った様で、車が停めてある方向と逆の方向に歩き出す
「先生!車はこっちですよ!」
袖口を引っ張ってやるとこちらを振り向く
「まだ寄る所あんだよ。行くぞ」
だったら、先に言えよ!
沸々と湧き出てくる文句を抑えようと心の中で叫ぶ
イマイチ行動が見えない
洋服店からそう遠くはなく着いたのはアクセサリーショップだった
俺を放って中へ入って行く先生に、不満を覚えつつも大人しく待つ
さっきみたいに早く出てくるとは思っていたのに
今回は遅い。
そんなに一生懸命選んでいるのだろうか
一人でいる時間は暇で色々と考えていれば先生の姿が見える
手にしていたのは小さめの袋
その姿を見てもう帰れる。そう思っていたら、その袋はなぜか俺の目の前に差し出された
「…え?」
なぜ俺に差し出したのか不明で先生を見る
「今日連れ回したから、礼だ。礼。」
文句は言ってたもののそんな事を言われると、特に困った事もなかったからお礼をされる事でもない
「そんなの良いですって!何にもしてないですし貰えません!」
差し出された袋を先生に押し返す
「良いから。もう買っちゃったし
要らなかったら捨てろよ」
そんな事を言われれば貰わざるおえない
俺は再び差し出された袋を受け取る
「すみません。ありがとうございます…」
なんだか申し訳なく思うが、嬉しいのは嬉しい
少し顔が綻んでしまう
袋の中身はブレスレットでとてもお洒落なものだった
「じゃあ、帰るか」
頭上から聞こえてきた声に俺は隣を歩く
着いてきてよかったとこの瞬間思った。なんとも単純な頭だ
車に乗り込みデジタル時計を見る
時刻は19時を指していた
学校が終わったのは15時半だから、3時間半も先生と一緒にいた
「晩御飯食ってから帰ろうか」
お腹が空いていた俺は大きく頷く。
それを見た先生はクスクスと笑う
「飯の時だけ素直だな」
何回も見た笑顔に心の中にモヤっとしたのが広がる
この正体は不明で、なんだか苦しい
きっと直ぐ治る。そう思って俺は先生との会話に集中した
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