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着いた場所はここでは有名な水族館だった
「先生…、ベタ過ぎないですか?」
イルカのパネルが俺たちを歓迎していた
変装の為に黒縁のメガネを掛けている先生とつばの広いキャップを被る俺。
先生の方を見ると苦笑いを浮かべている
「…仕方ねぇだろ。他に浮かばなかったんだよ」
水族館しか浮かばなかった先生って意外とロマンチックな人なのかな
そんな事考えたら普段の先生からは相当掛け離れているから可笑しいったらありゃしない
「笑ってんじゃねぇよ。生意気だな本当」
笑っている俺に対して拗ねた表情の先生
頬を摘んでいるが力が入っていない所が優しい
入場券を買って中に入っていくのだが、俺が財布を抜き出そうとした瞬間その手を抑えられてしまう
「これぐらい俺が出す」
スマートにやってみせる先生は堪らなく格好良い
「いや…でも!」
「いいから。甘えてろ」
これは端っこでの会話ではなく前にはガラス越しにスタッフの人が聞いている
なんて思われたんだろ…
とか考えていればもう買い終えていて、俺はお礼を告げて、一緒に中に入って行く
小学生の遠足以来の水族館に俺は一気に落とされたテンションから段々上がって行く
「先生!これクジラの等身大模型らしいですよ!!」
天井に吊り上げられた大きなクジラを見上げる
こんなにも間近で見られるなんて!
格好良い…
「笹本。アレ」
俺の肩をトントンと叩いて前を指差す
前を向けばそこには大きな水槽が見えた
沢山の魚が優雅に泳いでいる
「うっわぁ…すげぇ!!!」
もっと近くで見たくて駆け寄った
近くなった分だけ存在感が大きくなる
小魚や群れを作っている青魚、そしてエイや小さいサメなどありとあらゆる種類の魚が泳いでいた
「先生!めっちゃいますよ!!」
先生を見れば目が合う。
優しい笑みを浮かべていた
ガラスにへばり付いて必死に見ていた俺は子供過ぎて一気に恥ずかしくなる
「どうした?」
魚にあった視線を足元に移した俺に心配の声が降ってくる
「……俺、ガキみたいじゃないですか…
こんなにはしゃいで」
さっきまでの自分を振り返り後悔する
「阿呆。俺からすればお前はまだガキだ
そんな心配してないで素直に楽しめ」
頭を撫でてくれる大きな手
それが俺を恥ずかしさから解放してくれた。
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