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一夜にしてこの事態。
一体どうするべきなのだろう?
そんな大佐の混乱をよそに、王子様はお構いなしだった。
「あーあ、お腹空いた。母上にご挨拶しーよおっと!」
言いながらピョンとベッドから飛び降りると、ぶかぶかのパジャマのままドアの方へと行こうとする。
「ま、待ちなさい!」
大佐が引き止めると、ハッと振り向いた。
「おじさん......」
「いいかい王子様? ここは火星じゃない」
「え?」
「地球だ」
この答えに、火星の王子様はもともと大きな目を、こぼれ落ちんばかりに丸くして驚いた。
「どういうこと? なんで僕が、地球なんかにいるの?」
「私と結婚するために、来てくれたんだよ」
「な、なに言ってるんだ? おじさんと結婚するわけないだろ!」
「(弱ったな……記憶がないばかりか、すっかり坊やそのものじゃないか)」
大佐は、やれやれと額に手をやった。
あれほど好意を寄せてくれていた恋人が、まったく別の人間に変わってしまったように思えたのだ。
リオはキョロキョロとあたりを見回した。
「でも、ここ僕の部屋じゃない。おもちゃもないし……」
ポツリとそう呟くと、不安そうな緋色の目をパチパチとしばたかせる。
どうも異様なこの事態が、ようやくリオの身にも迫ってきたのだ。
「ああああぁ~~母上~~!!」
たまらずに叫んだ。
今にも泣きだしそうな顔で、ふたたびドアに向って走りだす。
大佐はその手をむんずとつかまえると、少年をグッと胸に抱きしめた。
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