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ガタン......。
突如、そんな音が屋敷に響いたのだ。
「な、なに……?」
毛布の中でそれを聞きつけた王子様は「はっ」と目を開けた。耳を澄ませる。
……バンッ。
間違いない。
気のせいだと思いたかったが、一階の方から確かに奇妙な物音が聞こえてくる。
王子様は両手で自分の身体を抱きしめた。
「だれ......? だれか来たの?」
こんな夜中に人の家に入ってくるなんて、まさか泥棒じゃないだろうな?
「いいよ......こっちに来てみろ。僕がやっつけてやるからな……」
そんなことをブツブツと呟きながら毛布に顔をうずめて息を殺した。
タン……タン……タン……。
やがてそれは規則正しい音に変わった。
タン……タン……タン……。
そして、あろうことかこちらに向かってどんどんと近づいてきたではないか。
冷や汗が出た。
気が付けば、戦隊ヒーローのパジャマを握る手が小刻みに震えている。
「イヤだ、イヤだ……お願い……来ないで!」
もはや限界だった。
消えてくれなければ今にも泣きだしてしまいそうだ。
こんな時なのにオシッコまでしたくなってきた。
音はさらに大きくなる――。
そしていよいよ王子様を追い詰めたのは、この世で最も恐るべきあの現象だった。
「キャハハハハハッ!」
そう
ここにいるはずのない女の子の笑い声である......!
*****
「よしよし、少しは落ち着いたかい?」
「グスッ......ヒグッ......」
「もう大丈夫だから。ちーん、しなさい」
「んッ、うんッ」
差し出されたティッシュで鼻をかみながら、王子様は大佐の膝の上にチョコンとお行儀よく座っていた。
結局あの後、我を忘れて一目散に大佐の部屋まで飛んでいったのだ。
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