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衝撃の夜
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「お、もうこんな時間か。そろそろ行くぞ」
「ソウゲツ、はいコレ!」
王子様は得意気に黒皮のビジネスバックを差し出した。大佐のお見送りをする時、玄関まで鞄を運ぶのがいつの間にか少年の日課になっていたのだ。
大佐はお礼を言って受け取ると、それを小脇に抱えて少年の髪を撫でた。
「そうだ。昨日も言ったが念のため。今夜は帰りが遅くなるから先に寝ていてくれよ? 寂しかったら、アキラ君に一緒にいてくれるように頼んであるから」
「今日の、何だっけ? がしこー……?」
「賀詞交歓会。簡単に言えば、大きなパーティーだ」
「僕、待ってるからな」
「何時に帰れるか分からないんだ。いい子だろ? な?」
そう言われてしまっては「うん」と答えるしかない王子様だった。
けれど心の中では絶対に起きて待っているんだと決意している。
「気をつけて行ってきてね」
そう言うと、背をかがめてくれた大佐の右頬に「チュッ」とキスをした。
最初の日はかなり恥ずかしくて何度もやり直しになった「いってらっしゃいのキス」だったが、何回目かになるとドキドキしながらも自然に唇を寄せることができるようになっていた。
大佐からの返礼を受けると、少年は赤い頬に手を当てながらエントランスを出ていくカッコいい車を見送った。
小さなお嫁さんの朝のお勤めは、今日もこうして無事に終わった。
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