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・・・・・
「リオ……」
その甘い声に誘われるように、王子様はぼんやりと目を覚ました。
「(あれ? 何だろう)」
やけに身体が重かった。まぶたを上げても暗くてよく分からない。
自分のものではない誰かの熱に全身が包み込まれているようだった。怖くはないけれど、身動きがとれない。
ま、まさか、金縛りじゃないよね!?
「ただいま帰りました」
そんな不安も束の間。
耳元で囁かれたその言葉は、すぐに待ちわびた大佐のものだと分かった。
あー、よかった。お化けじゃなかった。
王子様は恥ずかしさにポッと顔を赤らめた。
「ソウゲツ......おかえりなさい!」
「待っててくれたのか」
「さっきまで起きてたんだ。でも、やっぱり寝ちゃったみたい」
「遅くなってすみません」
「うんッ」
良かった。今夜もちゃんと「おかえり」を言うことができた。王子様にとって、これは大切なお勤めなのだ。
大佐が無事に帰ってきてくれたいま、いよいよ後は寝るだけだ。きっと彼も疲れているに違いない。
「あ、でもこのまま寝たらダメだよ?」
王子様はさっきからなんとなく感じていた違和感の正体に、ようやく気がついた。
「ソウゲツ、上、ハダカだもん。ちゃんとパジャマ着ないと風邪ひいちゃう」
「パジャマ?」
たくましい上体を起こしながら大佐はフフッと魅力的な笑顔を浮かべた。
「君がそれを返してくれないと」
「え? あ、そっか」
王子様は1人でいる間にずっと抱きしめていた大佐のナイトガウンを恥ずかしそうに手放した。
「ゴメン。それ、あなただと思ってずっと持ってた」
「リオ……」
「え......?」
暗がりにやっと慣れてきた目で大佐の顔をうかがうと、何とも差し迫った表情をしていたので思わずハッとした。蒼い瞳がただならない熱を持て余している。
「君は本当に誘い上手だな」
王子様にはその意味が分からなかった。
けれど大佐の眼差しはやはり真剣で、それに見つめられるとドキドキして、心臓がうるさく鳴って、だんだん苦しくなって……
右手で胸元のパジャマをつかんだ。
「ソウゲツ……僕……」
なんだか、ヘン……。
「......んッ……」
気が付いた時には、言葉が塞がれていた――。
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