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何を隠そう......王子様が最も手に汗握ったのは、いわゆるラブシーンというやつだった。
読み進めていくうちにめでたく夫婦となった男と女は、初めて迎える夜に当然ながらそういうことに相成った。
恋愛を、ましてや結婚をテーマにした物語なのだからこれはごくごく自然な流れにすぎないのだが、10歳の少年にとってはいささか刺激が強すぎたようで……。
「な......なんだこれ!」
真っ赤な顔で悲鳴を上げた目線の先にはベッドの上で濃厚なキスを繰り広げる男女の姿が......!
「わあー……い、いけないんだぁ」
そう思うなら漫画を閉じてしまえばいいのに、王子様は手を止めることができなかった。
なぜならそこにはまさにあの夜の不可解な体験がそっくりそのまま描かれていたのだから。
男が女の服を脱がしてゆく。
耳元で愛を囁く。
ふたりはとても幸せそうだ。
王子様は胸がドキドキするのを感じながら食い入るように次々とページをめくっていった。
「そうか……そういうことだったんだ」
あの日、大佐が自分にしたことが頭の中で鮮明によみがえる。
初めて知った。
あの行為が夫婦にとって、それはそれは大切な儀式だったということを。
「ソウゲツ……!」
彼は正しかったんだ。
「悪いことしちゃったな……」
何も知らなかったとはいえ、自分はただ動揺するばかりで完全に行為の足を引っ張っていたのだ。
その証拠に彼は途中でやる気を失ってやめてしまったではないか。
だけど事情を知ってしまった今、見てみぬふりはできない。
これから先は言葉を慎み、大佐のお嫁さんとして精いっぱい儀式の相手を務めなければ……。
「よーし!」
そうと決まったらここにある少女漫画を片っ端から読んでやる。
今夜、あの人が帰ってくるまでにしっかり勉強しておくのだ――!
・・・・・
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