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突然フワリと訪れた口づけに、王子様は戸惑った。てっきり、もうしてもらえないと思っていたのに――。
おかまいなしに、大佐は続ける。
額に頬、そしてツンとした鼻先に、触れる唇に気持ちを込めた。
王子の言葉がショックだった。
嫌いだなんてバカバカしい。
たとえこの子が広い宇宙で迷子になって、どこかの星で怒涛の人混みの中に紛れ込んだとしても必ず見つけ出し、連れて帰る自信がある。
それほどかけがえがないのだ。
何がそうさせたのかは知らないが、これを疑うなんて頼むからやめてくれ……!
静かにたぎる大佐の熱は、少年が抱いていた不安を少しづつ、少しづつ溶かしていった。
やがて人心地ついたのか王子様はおもむろにしゃべりだした。
「ソウゲツ......」
「うん」
「今日、新しい漫画見た……」
漫画......。
別に禁止するつもりはないが、年齢にふさわしいものだけを読んで欲しいな。
そんなことを思いつつ大佐は次の言葉を待った。
「男がせっくすしてた......」
「んん?」
「男と男が......……せっくすしてた!」
「ど、どういうことだ!?」
耳を疑った。
事情がよく飲み込めないが、要するに昨日の説明に穴を見つけたと言いたいのだろう。
王子様は続ける。
「赤ちゃんはできないけど……それでも好きで、欲しくて、ガマンできないって書いてあった……」
「びーえる」というのだと王子様は説明した。
大佐は初めて聞くその言葉に面食らう。
にわかには信じられなかったが、少年の真剣な表情を見ると嘘をついているようには思えない。
「僕、ソウゲツが好き……僕のことも……ヒッ……好きになって欲しい……」
そう言いながら王子様は再び大粒の涙を浮かべはじめた。
「あなたが僕とせっくすしないの……男どうしだからじゃない。ヒッ……好きじゃないから、って、思って……」
「あり得ない!」
大佐はたまらなかった。
無意識に肩をつかむ手に力が入る。
「君のことばかり考えてる」
言いながら王子の頬を伝う涙に唇を寄せた。
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