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屋敷の周りには昨日の雨が残っており、ところどころに浅い水溜まりができていた。
そんなところをバシャバシャと飛沫をあげてやってくるのだから大佐は気が気ではなかったが......。
つるりっ!
案の定、王子様は段差の部分で足を滑らせてぺしゃりと尻もちをついてしまった。
「リオ!」
叫んで車から飛び出した時には、少年はすでに小さな水溜まりの中におさまっており、茫然とした表情でこちらを見つめていたのだった。
黙っているから大したことがないのかと思いきや……。
「うっ……うっ......うわぁぁぁあああーーん!!」
子供特有の甲高い叫び声が一足遅れてあたりに響き渡った。
大佐は大慌てで駆け寄ると王子のくしゃくしゃになった顔を両手で包みこんだ。
「だから言っただろう走るなって。大丈夫か? 痛いのか?」
「うっ、あああぁ……ひッ……ヒッ」
「見せてごらん」
「ひッ……」
しゃくった声を上げるだけで要領を得ない王子様を立ち上がらせると、打ちつけたのだろう、おしりの部分を確かめた。
おやおや。
水溜まりに落ちたのだから当然だが、パジャマはぐっしょりと濡れて泥だらけだった。
これではパンツだって無事では済まない。さぞかし不快だろう。
けれど不幸中の幸いか尻もちをついたのがたまたま柔らかい芝生の上だったので、大袈裟に泣いているわりに怪我はなさそうだ。
大佐はホッと胸を撫で下ろすと「大丈夫だ」「男の子だろう」などと声をかけ、王子の涙を拭ってやった。
その甲斐あってか、王子はやがて大人しくなると両手を伸ばして抱っこをリクエストしてくれた。
*****
「頼んだぞアキラ君。ご覧の通りびしょ濡れだから、湯船に入れて温めてやってくれ」
「わかりました。大丈夫よリオ王子。一緒にお風呂に入ろうね」
「イヤ。僕さっき入ったもん。ソウゲツと一緒にいる!」
王子様はわがままを並べて二人を困らせていたが、寒くなってあきらめたのか、結局アキラと手をつないで楽しそうに二階へ上がっていった。
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