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すると――。
「あっ、何これ......!」
びっくりした。
てっきり生まれたままの姿にされたと思っていたのに、僕の身体にはいつの間にかあなたが広げていた布がピッタリと巻きついていたんだ。
「よく似合ってるな。これは『浴衣』というものだ」
「ユカタ?」
「日本式のルームウェアさ。これ一枚でホテルの中ならどこでも歩けるし、ベッドに入ればそのまま眠れる。便利だろう?」
「ふぅん?」
なんだかよく分からないけど、手足を動かしてみるとひらひらと風通しがよくて気持ちがいいし、腰周りがしっかりと固定されているから安心感がある。
藍色の布地には所々にキラキラの星があしらわれていた。
ちょっといいかも。
あなたはこれを着せたかったんだね。
「気に入ったかい?」
「うんっ、なんだかジュードーの選手になった気分」
僕がカッコよく両手を前に構えると、あなたは「お、強そうだ」なんて言いながらクシャリと髪を撫でてくれた。
その表情からホッとしたようなニュアンスが伝わってきたのはどうしてだろう?
*****
「だけどビックリしたよ。いきなりハダカにされるんだもん」
「ああ、少し強引だったかな」
「そうだよ......僕、ヘンなカン違いしたんだからな」
「悪かった」
実はちょっとだけ成り行きを期待していたなんて、今さら言えない。
赤くなった顔を隠そうと、僕はちょうどいい高さに見つけたあなたの肩にそっと頬をうずめた。
「ソウ......次から服を着せる時はちゃんと言って? そしたらおとなしくできるから」
「......」
「ね?」
するといつもよりぎこちなく回されたあなたの掌が優しく背中を叩いてくれたので、嬉しくなった僕は「うふふ」と笑った。
「そうだ。あなたもユカタを着てみてよ?」
「ん......」
「これでお祭りに行きたいんだ。夫婦でおそろいにしよう」
僕がそう言うと、あなたは何故か「はあ」と熱いため息をついてしまった。
「ソウゲツ?」
「参ったな......」
「どうしたの?」
「とんだ誤算だ……これでもダメか」
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