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残念そうなあなたの声に、僕は思わず姿勢を正した。
だけど言葉の意味はよく分からない。
「どういうこと……? ダメって何が?」
不思議がって尋ねてみれば「こっちの話だ」と決まり悪そうにかわされてしまう。
だけどそんな態度とは裏腹に、背中を撫でる手の平はユカタごしにも確かな熱で何かを語りかけてくるから真意が読めない。まるで昨日の夜みたい。
顔を上げてあなたの目を窺うと、いつもの蒼色に交じって水銀のような光がチラチラと浮かんでいるのが見えた。
一瞬ドキッとしたけれど、その光はすぐに消えてしまった。
ううん、きっと意図的に消したんだと思う。
あんまりしつこいと嫌われちゃうから無理強いはしないけど、やっぱり気になる。
ホントは夫婦で隠しごとはしちゃダメなんだからな......。
なーんて。
そういう僕だって、あなたにナイショで例のパジャマを持って来ている訳なんだけど。
あなたにとって、あれが特別な物だっていうことくらい言われなくても分かるんだから。
ソウゲツ、あのね。
実は少しだけ迷ってたんだ。
女の子の服なんてホントは嫌い。
だけどあなたの瞳に光を灯せるなら、やっぱり今夜はあれが着たい。
「もう一度チャンスをちょうだい」ってお願いするから、今日も明日もこれから先も、ずっとずっといっしょに眠って?
僕が隠しているものを見てしまっても、どうか嫌いにならないで......。
*****
僕たちは仲良く手をつないでお風呂場に向かって歩いていた――。
その頃にはソウゲツはすっかりいつもの調子に戻っていて、今から入るという「アルカリ性単純温泉」についていろいろと教えてくれた。
刺激が少ないから、僕みたいな子供でも安心して入れるんだって。
それに、お肌がつるつるになるみたい。
カラカラと扉を横に開けると、脱衣所があった。
タオルにドライヤー、ペットボトルのお水まで必要なものは何でもここにそろっている。
けっこう広いスペースだけど、貸し切りだから僕たちだけで使えるんだ。
曇っているけど窓から海も見えるし、ぜいたくだよね?
ふと洗面台を見ると、一面の大きな鏡に僕とあなたが映っていた。
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