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「やだっ、そこは反則っ、あははははっ!」
「やっぱりだ。君はどういうわけか、すこぶる腹が弱いんだよな」
大佐は嬉々としてそう言った。
「はー、はー……こんな所くすぐられたら誰だって笑っちゃうよ」
「ふふ、ここだけだと思うか? 他にも色々知ってるんだぜ」
「いじわるだ! 後でおかえししてやるからなっ」
息も絶え絶えに男の手をひっぱたくと、少年は赤い頬をプンッと膨らませた。
そんな彼を「悪かった」と言ってなだめつつ、大佐は残りの部分を洗いはじめた。
「弱点だけじゃないよ。そうやって怒った顔も、負けん気が強いところも……」
「............」
王子が顔を上げると、鏡ごしに穏やかな瞳と目が合った。
「はじめは心臓が止まるかと思った。いきなり君が小さくなって、もう会えないのかと思っていたけど......。後ろは終わったぞ。前は自分でできるよな?」
王子様はぶんぶんとかぶりを振った。
「ムリだ。できない」
できないな訳がないだろう。
大佐は思わず苦笑した。
「どうしてこんなに甘えん坊になったんだ?」
それでも小さな身体をこちらに向かせると、まるで宝物でも扱うように上半身を白い泡に包んでいった。
そんな甲斐甲斐しい様子を間近に見つめながら、王子は甘酸っぱい気持ちに満たされる。
「ありがと……」
「ふふ。実はこうくるんじゃないかと思ってたんだ」
「そうなの? 僕って大人になっても甘えん坊なの?」
「甘えん坊だな」
即答されてしまった。
ぐうの音もでない。
大佐は続ける。
「それにやんちゃで、正義感はひと一倍強いくせにお化けが嫌いで、怖がりで......」
な、なんだってー?
王子がムッと唇を尖らせると、それを愛しむような掌にふわりと頬を撫でられた。
「ワガママだけど、本当は誰よりも人の気持ちを思いやれる。毎日、一生懸命生きている。私を夢中にさせる」
「ソウゲツ……」
「ずっと側にいてくれたんだな。王子様」
二人はゆっくりと目を閉じた。
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