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【終章】27
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・・・・・
――それは、いつもと同じ朝だった。
丁度よい採光をもたらす白いレースのカーテンから朝日が射しこみ、ベッドで眠る2人の足元をやわらかく照らしてゆく。
短い休暇を終えて屋敷のベッドで目を覚ましたソウゲツ大佐は、隣で丸くなって規則正しい寝息を立てるリオ王子の亜麻色の髪を優しく撫でていた。
「綺麗だ......天使みたいだな」
もちろん現実にそれを見たことなどないが、もしも本当にいるのだとすればこのような姿なんだろうと男は信じていた。
すると愛撫に反応したのか、王子様は丸めた身体を「ウン......」と伸ばした。
顔が真正面を向いた。
「無垢」という言葉がふさわしい邪気とは無縁のその顔は、実年齢が16歳と若いことはさておいても、なおいっそう幼いものに感じられる。
こんな姿を見てしまっては、男として朝の生理的な猛りが主張したとしても手を出すことは自然とできなくなるのだ。
しかし……。
「王子様!」
クールを装っていたが、もう我慢の限界だ。
「起きてくれ! 身体がもとに戻っているぞ!」
叫ばずにはいられなかった。
大佐は早くも馬乗りになると、寝ている王子様の身体をそれはもう力強く抱きしめる。
「ううっ……?」
王子様はびっくりして目を開けた。
「な、何だ? どうしたんだ?」
ああ、この声も、子供用のパジャマからはみ出した長い手脚も......全部リオだ。
しかしこちらの興奮をよそに、当の少年はキョトンとした顔で困っているのだった。
聞けばこの2週間、自分の身に何が起こっていたのか全く覚えていないらしい。
「そうか......まあ、仕方ないな」
大佐はそれを覚悟していたが、やはり胸にぽっかりと穴が空くような寂しさを感じてしまった。
もしかしたら......。そんな一縷の望みを捨てきれなかったのかもしれない。
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