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「ねえ、ソウゲツ」
王子様は優しく名前を呼んでみました。
その声に安堵し、いくらか気を持ち直したのでしょう。大佐は穏やかな表情で次の言葉を待っています。
「今日は、なんというか......僕にとってすごい1日だったよ。きっと一生忘れない。地球のお正月は初めてだから知らないことがたくさんあって、あなたには迷惑かけちゃったけど、来年からはもっとうまくやれると思うんだ」
「なんだ、君って人はもう次の年のことを考えているのか? 今年はまだ始まったばかりだっていうのに」
大佐は面白そうに目を細めます。
「来年だけじゃないよ。さ来年も、そのまた来年も、ずーっと、ずうーっと地球で一緒に暮らすもんっ」
王子様はニッコリと微笑むと、得意気に大佐の顔を見上げたのでした。
*****
夜の空には冬の星座がキラキラと輝いています。きっと、風が雲たちを運んでいってくれたのでしょう。いつの間にか雪は止んでいました。
二人はもう傘をさすのをやめていましたが、ゆったりと手を繋いでおり、その距離が離れてしまうことはありませんでした。
道の先に、いよいよ屋敷が見えてきた頃。
少し言いずらそうに大佐がきりだしました。
「王子様......あのな」
「ソウゲツ、なに?」
「頼む......さっきのあれは、どうか聞かなかったことにしてくれないか?」
「あれって? ......あ!」
珍しく頬を染める大佐の様子を見て嬉しくなった王子様は、ニンマリと悪戯っぽい笑みを浮かべて返します。
「うふふっ! ダメよ~~。ダメダメっ」
「こらっ! 勘弁してくれよ」
「ねえ、そんなことより、僕、身体が冷えちゃた。家に帰ったら晩ご飯の前にお風呂に入るから......」
王子様は繋いだ手をギュッと握りしめると、ちょっぴり勇気をだして囁きました。
「『ヒメハジメ』の復習......お願いっ」
「む......」
おやおや、
大佐の嬉しそうな顔ときたら......!
*****
仲良きことは美しきかな。
新年そうそうの痴話劇場。
めでたき日の無礼講と思ってご笑納頂けたら、これ幸いでございます。
皆様のご健康とご多幸をお祈りし、本日はこれにてお開きとさせて頂きましょう。
いよ~~~~! ポンッ!
〈了〉
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