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それでも......
まさか皆の前で肩を震わせるとは思わなかった。
死活問題だなんて彼は言っていたけれど、あれは決して大げさな表現じゃなかったのかもしれない。
「ソウゲツ、泣かないで......」
本当......困った人だよね。
ねえ、ソウゲツ。
僕達が出会って恋をして、結婚を決めて一緒に暮らしはじめてから1つ分かったことがあるんだ。
それは人の気持ちってものがいつまでも同じじゃいられないっていうこと。
目が覚めるほどカッコいい無敵のあなたと出会った時の輝くような恋の気持ちがずっとずっと続くとばかり思っていたけど......。
だってこうして一緒にいると今まで知らなかったたくさんのあなたが見えてくるんだもん。
あなたって優しいけれど、本当はすごくすごく意地悪で、僕の目から見ても子供っぽい所がある。
お酒もタバコも大好きだし、嫉妬深くて思い込みが激しくてとっても頑固だ。
そのくせ寂しがりやで僕のことを泣かせる上に「超」がつくほどエッチときている。
今朝だって僕の着替えをずっと見てたの知ってるんだから。
休日に弾くヘタなバイオリンの音もキイキイうるさい。やめてって言ってもやめてくれない。
ま、最近はちょっぴりマシになってきたけどさ......。
不思議だな。そんなあなたが僕は好きだ。
出会った頃のあなたより、笑っちゃうほど今のあなたの方がずっとずっと好きなんだ......。
ああ、もうダメかも。
さっきから目の奥がジンジン腫れて熱くなってる。
皆の前で涙がでちゃったら、それは全部あなたのせいだ――。
・・・・・
――3日後。
親善試合を終えた王子様は輝くばかりの笑顔を浮かべて大佐のもとへと帰ってきた。
日本州との友好の印であるサッカーボールを模した金色のバッチを胸に光らせて、手にはお土産の紙袋を下げている。
その中には大佐が贔屓にしている日本酒とおつまみの日光湯波......
そしていつまでも仲良く食卓を囲めるよう願いが込められたお揃いの夫婦箸が主人の喜ぶ顔を今か今かと待ちわびていた――。
<了>
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