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「相楽さんは、昨日キスしてたあの人が好きなんじゃないんですか?縋りつくほど。」
怒っていたはずなのに、先程の言葉に動揺し過ぎて、出る声から自信の無さがわかり、苦笑した。
「あー、みてたのか」
なんでもない、という風にさらりと認められ、どういうことなのだと睨みつける。
からかうための嘘なのか。
これ以上人の気持ちを振り回さないでくれ。
「元カレ、だけどあれは縋ったふりして油断させただけだよ。すぐに向こうの唇噛んで離れた。」
好き、を拒まなかったからか、さっきまでの剣幕はどこへ行ったのか今は俺の前にしゃがみこみ、安心させるように瞳をみつめ、優しい声音で話してくる。
「本当、に?」
涙が溢れそうになるのを耐え、震え声で尋ねる。
相楽はふわりと微笑み、本当だ、と告げてくる。
「そいつに橘が好きなことバレてて、橘になんかするんじゃないか、ってすげぇ心配した。橘の情報何も知らないし、あるわけないんだけど。」
あの剣幕は自分を思ってのものだったのかとわかり、思わず笑いが溢れる。
「で?伊織は?言ってくれないの?」
「何がですか?」
「俺への気持ち。」
顔から火が出るんじゃないかと思うくらい、熱くなっていく。確かに言うべきなのだろうが、ここで1度で言えるほど自分は素直じゃない。
「私は、大嫌い......の、反対です、」
頬を染め、目を逸らし、最後は聞こえるか分からないほどの小さな声で告げた。
反応がない相楽にチラッと視線を投げると今はそれでいいや、と笑い、口付けをされた。
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