アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
穏和な人
-
振り返ったそこには優しくこちらに微笑む1人の男子生徒の姿があった
声の主だろう彼は透き通るような瞳をしていて、色素の薄いアッシュじみた髪色をしていた
制服は悠よりももちろん似合っていて、シワひとつないシャツを一番上のボタンまで留めていた
向こうから声をかけてくれたことが嬉しくて、ずっと聞きたかった質問を投げかける
「転校生だよね..?初めまして」
穏やかな声と柔らかな笑みに思わず見惚れてしまう
吸い込まれそうな澄んだ瞳は惹きつけられるような感覚に陥る
自分の顔を見つめる悠に少し不思議そうにした後に、くすっと笑う
「俺は城田瑠壬、みんなからはシロって呼ばれてる。よろしくね、瀬戸悠くん」
瑠壬と名乗った男は、首を少し傾げて微笑む
「あ、よろしくお願いしま....」
あれ?今、俺の名前...?
途中で言葉を切った悠を瑠壬はキョトンとした顔で見つめる
「あ、いやっ、何で俺の名前知ってるのかなって思って...」
こちらから名乗ったわけでもないのに知ってるなんて、誰でも驚くに決まっている
「あぁ...びっくりするよね、ごめんね」
少し申し訳なさそうに、困った顔をしてみせた
「君は昨日この学園に転校してきた瀬戸悠くん。学年は2年生、クラスは6組。出席番号は12番」
驚きを隠せない悠に、悠自身も知らない情報を連ねる
得意げではないがつらつらと言葉を並べている瑠壬を前に、なぜそこまで自分のことを知っているのか不思議でならなかった
「何で...知ってるんですか...?今初めてあったのに...」
不審とまではいかないが、ここまで話されれば正体が気になる
そんな悠にただ瑠壬は優しく微笑むだけだった
「この学園は俺と廉が指揮を執ってるようなものだから...」
「え?なんですか?」
小さな声で呟いた瑠壬の言葉は悠には届いていなかった
「ううん。何でもないよ。急にたくさん話してごめんね。びっくりさせちゃったかな」
穏やかな瑠壬の醸し出す柔らかな雰囲気に、不思議と怪しい思う気持ちは起きなかった
「いえっ、びっくりしたけど瑠壬...さん?のこと怪しいとか思ってないので!」
言った後に怪しいは言い過ぎたかも、と自分の言葉を振り返り焦り出す
たが瑠壬はよかった、と安堵の声を漏らすと
また柔らかな微笑みを顔に浮かべる
「教室に案内するよ。驚かせちゃったお詫びにさ」
「あ、いや...でも俺、昨日職員室にも行ってなくて...先生に顔見せなくちゃいけないと思うんですよ...転校初日に何やってんだって話ですよね」
苦笑いをする悠に、ふふっと上品に声を漏らす
「そうだったんだ。でも大丈夫だから。先生には俺から伝えておくし、気にしないで教室に向かっていいよ」
大丈夫だから、と見つめられると自然と首が縦に動いていた
二人は歩き出し、瑠壬を先頭に悠は教室へと足を進めた
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
14 / 36