アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
新しい世界
-
ドアに手をかけながら深呼吸をする
ここから先は自分の知らない世界が広がっている
その期待と不安がどんどん高まっていく
瑠壬から告げられたいい子達ばかりだから、という言葉だけが今の悠に安心感を与える
意を決して勢いよくドアを開けた
悠の視界に、程よく日差しの差し込む明るい教室が広がる
そしてみんなが自分を見ているのも分かった
「あ、おっ、俺は瀬戸悠っ、て、転校生ですっ、よろしくっ」
なんて言うかなんて決めてなかったから、グダグダな自己紹介をしてしまった
テンパった自分を見る目が痛い
そう思った直後だった
「君が転校生の瀬戸くんなんだね!やっと会えたよ〜、ようこそ!一ノ瀬学園へ!」
「同じクラスになれて嬉しいよ、よろしくな!」
「めっちゃかっこいい!私タイプ!よろしくっ!」
「転校生だっ、転校生だ!!」
教室にいたほとんどの人が立ち上がり、悠のそばまで来てくれた
驚きと予想してなかったのもあって、拍子抜けする
周りに集まって来たクラスメイトの顔を、一人一人見ながら、よろしく、と呟く
みんな笑顔で、自分の事を待ち侘びていたと言わんばかりにあれやこれやと騒いでいる
「俺の名前は健太!なあ、バレー興味ない?よかったら入部してくれよ!」
「バレー部かぁ..いい——」
「いやいや、それなら剣道部が一番だろ」
「剣ど——」
「ここの学食めっちゃ美味いんだぜ!今日の昼一緒にどうかな?」
「それなら昨の——」
「ちょっと、先取りなんてずるいよぉ、ねぇねぇ、瀬戸くん。私とご飯食べよ?」
「あ、俺——」
「いや、ご飯なら俺が同行する!」
「あの..——」
「入部の件なら是非新聞部に——「いーや!テニス部だろ!」
悠の返事待ちをしてるのだろうが、悠の発言はみんなの声に掻き消される
でもそれが可笑しくて、嬉しくて、思わず失笑する
みんなは笑う悠に気付き固まり、顔を見合わせ不思議そうにする
「みんな楽しい人ばっかりで良かった。さっきまでの不安が嘘みたいだよ、これからよろしくね」
悠のほころんだ笑顔にみんなもつられるように笑顔になる
詳しい自己紹介の場は先生が設けてくれるというから、とりあえず話しかけてくれる人たちとの談笑を楽しむことにした
空席に案内され、そこに腰掛ける
その周りを悠と話したいと思ってくれているみんなが囲む
本当になんでもない会話だったが、初日でここまで話せる人がこんなにいるとは思わなくて、心の底から嬉しかった
転校して来た理由とか、好きな色とか、好きな食べ物とか、入りたい部活とか、いろんな質問をされる事がここまで嬉しい事だとは思ってもみなかった
みんなの顔を覚えるためにも一人一人の顔を改めて見ていく
そして不意に、初日に出会った新のことを思い出す
意識して見てみると自分の周りの生徒の中に、新の姿はなかった
話を聞きながら教室を見渡す
だが、そこにも新の姿は見つけられなかった
違うクラスなんだろうか
いや、それとも学年が違う....?
見た目が同級生か年下に見えたから普通にタメ口使っちゃったけど、まさか先輩とか...?
そんなことを考えてたら名前を呼ばれる
「瀬戸くん?どうしたの?何か考え事?」
「気になることあったらなんでも聞いてねっ」
みんながそうやって優しくいってくれるから、その勢いでそのまま口に出してしまった
今考えたら、先生や生徒らに無視されていた新の事を、聞く事自体間違ってたんだと思う
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
18 / 36