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違和感
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悠の言葉にみんなが、いや教室自体が固まったように感じた
...え......?
なんと言うか、さっきまでの雰囲気とは打って変わり、冷たいと言うか異様な空気感だ
だが、それは一瞬のものだった
「あ、私たちその子のこと知らないかな...」
ずっとマシンガントークをしていた女子生徒が気まずそうに呟き、みんなを見渡す
「そうだな...俺もそいつは知らないな」
「俺も」「僕も」「私も」
そんな声が次々と上がる
悠のクラスの中に新を知っていると言う者は1人もいなかった
「...どうして...?」
直感的に、怪しいと、そう思った
「この学年だけでも100名以上いるし、学部と学科が違かったら同級生でも知らない人なんてたくさんいるよ..?」
だが、そう言われて疑心が薄れる
「えっ、この学校って学科とかあるの?」
質問返しされた男子生徒は周りを見渡し頷いた
「そうだよ、ここは普通科の教室棟。あとは家庭学部の中に調理科と裁縫科があって....工業科、農業科、システム科...もうたくさんあるよ」
「俺たちがそいつを知らないように、そいつも俺たちのこと、一人一人は知らないんじゃねえかな」
たくさんの学科がある事を初めて知った悠だが、そう説明されても完全には疑心を払いきれなかった
「そうなんだ.....俺、新と友達になりたいんだ。もし誰かわかる人がいればさ、新が何年生で、どこの学科の人なのか教えて欲しいな」
悠の言葉に、教室のみんなは顔を見合す
自分が新の名を出せば、必ずこの異様な空気感が教室を包む
「...わかった!てかさ、そんなことより俺たちと友達になろうぜ?クラスメイトなんだしさ、仲良くやってこーじゃん?」
1人の男子生徒の発言にまた、明るい、和やかな雰囲気が戻ってくる
口々にそうだ、そうだ、と言っては、悠に話しかけてくる
もちろんそれは嬉しいし、ありがたい。
でも、新についてはきっと何も教えてくれないんだろうとそう感じた
先生や他の生徒に無視されていた彼を、このクラスの人だけが護ってあげるようなことはきっとない
実際、知らないと言われたし、あの冷たい空気
転校生で何も知らない俺だけど、おかしいのは分かる
転校してきた初日の新との出会いは、これから先の悠の学園生活を大きく変えるものとなる
そしてそれは新にも言えることであり、
この学園に関わる全ての人に値するものとなる
クラスの人と仲良くなりたい
俺は俺で、新を護っていけばいい
そう思いながら過ごす穏やかな朝は、どこか違和感だらけだったがみんなの笑い声が絶えなかった
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