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連行
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部屋に連れて行け、という廉の命令に従う連れが新の腕を引き上げる
立て
と、そういう合図だった
強制的に立たされた新を両脇から支えながらも引っ張りながら歩き出す
でも行きたくなかった
もう3日も授業に出ていない
教室にいたいとかそういう理由じゃなくて、勉強について行けなくなるのが嫌だった
一ノ瀬学園はテストがある度にそのデータがそのまま生徒それぞれの実家へ送られる仕組みになっている
廉の絶対権力でも改ざんできない唯一の制度だった
だから昨日、テストの点数の差で廉から痛い目に合わされたのだ
しかし、勉学面を疎かにしていたら母親が心配するのが分かるからそこだけは譲りたくなかった
授業に出させてもらえない時は自分の部屋で教科書を広げて独学で勉強するが、授業に出る方が要領がいいに越したことはない
母さんだけには、迷惑かけられない...
「...廉、さん...嫌だ...っ」
そういいながら引き摺られも同然の足を止める
振り返る廉は眉間にシワを作りながら新を睨む
「あ?」
廉の声にすら恐怖を感じ怯むが、言わずにはいられなかった
「..授業に、出たいから...っ、お願いしま、す....」
声を出すと先ほど蹴られた腹部が痛みの声を上げる
廉はそれに堪えながら小さく呟く新に無言で近寄った
そして握った拳を勢いよく、新の鳩尾に食らわせた
予想していなかった廉の一撃にくぐもった声が漏れ、嘔吐く
脚から力が抜けて倒れ込みそうになるが、それを阻止するかのように両脇を掴む力が強まる
噎せる事もできない重たく残る痛みがキツい
廉は顔を伏せる新の前髪を乱暴に掴み、上を向かせる
悲痛な声は教室のみんなに聞こえるが、それを傍観しているだけで誰も助けようとはしなかった
「俺に意見する様になったのか?ふざけんのも大概にしろよ」
涙で潤む新の目を睨み、容赦のない言葉を吐く
意見したわけじゃない、お願いしたのに...
俺の声はいつだって、廉さんに届かない——
黙り込んだ新に舌打ちすると、振り払うように髪を掴む手を解く
さっきよりも酷い痛みに立つこともままならない新に構わず歩き出す
引き摺られている脚を止める気力もなかった
今日も、授業に出られない...
絶望に暮れるような感覚に、怖くてなのか、悔しくてなのか、涙がこみ上げる
新を連れ去るように教室を出て行こうとする廉達の目前で、ドアが向こう側から開かれた
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