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予想外の人物
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「シロさん...っ」
そこには瑠壬の姿があった
瑠壬の急な登場に廉は拍子抜けた声を漏らす
もちろんそれは廉だけじゃなく、廉の連れ仲間も、教室のみんなも、新も、驚きが隠せなかった
瑠壬は基本、教室棟には顔を出さない
生徒執行部という組織を作り、そこで廉と筆頭に学園の指揮を執っている
もちろんその執行部は教室棟には無く、学園本館の3階に陣を構えている
そこにしか普段滞在しない、廉と肩を並べる学園の裏のリーダーが現れれば、誰もが驚くに決まっている
静かだった教室に、先ほどとは違う緊張感が走る
「久しぶりだね、廉。」
共に学園を仕切る廉とは異なり、落ち着いた雰囲気の瑠壬は優しく微笑む
「...お久しぶりです、何で、ここに...」
瑠壬とは同級生の廉だが、1つ上ということもあり、敬語で返事を返す
「転校生に道案内をしてたんだ」
瑠壬の言葉に新は小さく反応したが、誰も気づいていないようだった
「転校生ですか....?あぁ、確か昨日辺りに来るって言ってましたね」
廉はうろ覚えだったが、瑠壬は廉よりも学園の事情を詳しく知っていた
それもそうだ
瑠壬はここの生徒であって、生徒ではないからだ
授業を受けることもない
クラスがある訳でもない
指揮を執ることが学園での主な役回りだった
「うん....それにしても、朝から物騒すぎない?」
床に転がったままの椅子と顔を顰め腕を掴まれている新に目をやり、ため息まじりに呟く
「倒した椅子くらい直してから行きなよ」
少し困ったような表情でそういいながら教室の中に足を踏み入れる
倒された椅子と大きくズレた机を元に戻し、唖然としている教室のみんなに微笑む
そして廉のもとへ戻る
「それじゃあ、行こっか」
瑠壬も、新を救おうとはしなかった
目を伏せて悲しげな顔を見せる新を一瞥して、瑠壬は廉と引き連れてきた仲間とともに教室を後にした
廉達の存在が消えた教室は再度春の陽気な日差しが降り注ぎ、穏やかな朝に戻りつつあった
廉と瑠壬の絶対権力を前に
この学園で新を救おうとする者は誰1人として在なかった
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