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仲裁
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「...廉?入るね。」
緊迫した部屋の中に穏やかに拡がるのは瑠壬の声だった
「ごめん、ノックしたけど聞こえなかったかな...?」
廉の驚いた様な顔に瑠壬は申し訳なさそうに気まずく謝る
首を振った廉は新を一瞥した後、再度瑠壬を見る
「何か用ですか?」
廉の問いかけに瑠壬は眉を下げ困ったように笑った
「やり過ぎなんじゃない...?昨日の今日なんだからさ。新だってキツいと思うよ...?」
廉から、昨日殴り過ぎたと聞いていた瑠壬は目の前で行われいてる暴力行為に溜息をつく
「...俺に嘘をついたので...騙そうとしたこいつが悪いんです」
そう言いながら新の前髪を握る
顔を顰める新を一瞥し、瑠壬は部屋の中に足を踏み入れた
そして新の髪を握る廉の手に自分の手を重ねる
「今日はもう終わろう.....ね?」
諭すような瑠壬の言葉に廉は握る力を弱めた
それを確認した瑠壬は廉に優しく微笑む
「今日は授業、出席するんだよね?新は俺に任せてくれていいから、廉は行ってきなよ。」
立ち上がる廉に瑠壬はそういうが、廉は戸惑ったよう表情をしてみせた
「...大丈夫です。あいつはここから出さないんで...瑠壬さんは瑠壬さんのやる事やっててください」
少し悩んだ様子でそう言いいながら廉は頭を下げた
「そう....?ほんとに大丈夫?」
「大丈夫ですよ、瑠壬さんは心配しないでください」
断られた瑠壬は再度問いかけるが、廉は緩く微笑み、再度、大丈夫ですよと囁いた
「分かった。じゃあ俺は戻るね。」
瑠壬は少し残念そうな顔で部屋を出て行った
また2人だけの空間になってしまい、新は起き上がりながらも廉を警戒し、身体を丸める
だが、廉はちらりと新を一瞥しただけで
俺が戻るまでこの部屋から出るな、と言い残し部屋を後にした
パタンと閉まった扉の向こうから聞こえたカチャッ、と鍵のかかる音が部屋に響く
新が廉の逆鱗に触れると、必ずこうしてこの独房のような部屋に閉じ込められる
廉は戻るまで、と言ったが、廉が帰って来ても鍵を開けなければ出る事はできないし、廉も気が済むまでは開けてはくれない
自分の判断で出る事はできないし、許されない
部屋にはベッドと机があるだけで、他の家具は一切なく窓だってない
淡く光る橙色の照明が壁に1つあるだけで、それが唯一の光だった
薄暗い部屋だが、明るい所にいると人がいないはずなのに誰かに見られているような気がして落ち着かないので、暗さに関しては嫌いではなかった
でも、何もすることがなくて、誰とも会えないここでの時間はひどく遅く感じて、果てしない孤独感に襲われる
新は壁に背をやり、天井を見上げる
もう見飽きたそこをただひたすらに眺めるだけ
時間が過ぎるのを待つだけだった
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