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閉ざされた空間
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廉がいなくなった部屋に1人、新は天井を見上げ、永く続くこの時間が経つのを待っていた
昨日選んだ選択肢を後悔する反面、そんな事ないと思う気持ちが交錯する
だってあの時部屋に残っていなければ誰かにさらに痛めつけられていたかもしれないし、なにしろ、あんなに幸せな時間を味わうことも出来なかった
今までも、この先も、ずっと独りだから
あれくらいの小さな幸福くらいは許されたい
もう悠には関わらないから
関われないから....。
膝を抱え込むように、体育座りをする
いつも着ている長袖のシャツに顔を埋めると、ふわりと香る悠の匂いがした
心地よくて落ち着くこの匂い...
悠が洗濯してくれた
俺の為に....
今日洗ってしまったら落ちてしまうだろう
着ないでずっと永遠に保存しておけばよかった
まあ、そんなこと無理だけど。
シャツの袖を伸ばし、鼻と口元を覆う
悠の匂い....
「..............悠......」
思わず名前を呼んでしまい、我に帰る
周りには誰もいないのに辺りを見渡し、溜息をついた
何考えてるんだ....俺は...
くしゃりと前髪を潰すように握る
どうせ消えてしまうものなら、存分に味わっておきたい
することもないから、とりあえずベッドへ足を運び腰掛ける
身体を横にすると楽になれたが、寝具から廉の匂いがした
嫌いな匂いではない、嗅ぎなれているから
でも自分へ恐怖しか与えないこの匂いを纏う人物を思い出してしまう
ベッドで寝るのは止めよう....
身体を起こし、さっきまで座っていた場所へ戻る
体育座りの体制をとり、身体を抱え込みながら腕の中に顔を埋める
廉が戻ってくるまで何もすることはないが、今の新はこの落ち着いた誰もいない、誰からの危害もない部屋で1人、包まれる香りに身を委ねることに幸福を感じていた
やっぱり落ち着く、この匂い....
悠の....匂い........
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