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新の過去
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新くんが転校してきたのは、1年生の夏頃
新くんの母親と、学年が1つ上の佐伯先輩の父親が結婚してね
それでこの学園に来たんだ
佐伯先輩は、新くんにとって義理の兄にあたるんだけど、佐伯先輩自身はその結婚をよく思ってなかったみたいなんだ
父親は大手企業の社長を務めていて、その時期候補は佐伯先輩の予定だったらしいんだ
でも結婚した事で新くんも息子になったわけだから、父親の判断でどちらに継ぐか決めるという風になったみたいなんだ
新くんから聞いた話なんだけど、新くんは後継者なんか継ぎたくないって言っててね
佐伯先輩と競うつもりなんかなかったみたいなんだ
でも父親はそういう風に2人に言い聞かせるものだから、佐伯先輩の方が新くんを毛嫌いしている感じだったんだ
それだけに留まれば、まだ良かったんだけど...
この学園はね、テストがまめに行われてて、その度にそのデータがそのまま実家に送られる制度なんだ
テストの点数をみた佐伯先輩の父親は、新くんを褒めるばかりで、佐伯先輩との溝はますます深まっていったらしいんだ...
それからしばらくして佐伯先輩からの虐めが始まった
始めは物を隠されたり、水をかけられたり、今よりかは幾分もマシだった。もちろん、あの時も辛かったと思うけどさ...
それにその時は、僕も、歩くんも、クラスのみんなが味方だった
新くんの周りにはいつだって友達がいたんだ
クラスのみんなも今はこんな感じだけど、あの時は全然明るくて、作られた友情なんかじゃなかったんだよ
やがてその佐伯先輩の手が、新くん以外にも伸び始めたんだ
まず最初に学園側を味方につけた
佐伯先輩の父親が、毎年多額の寄付を学園に行っていることを逆手に取り、虐めを容認するように要求したんだ
もちろん、学園側に選択肢は無かった
学園を黙らせた佐伯先輩は、次に生徒たちを脅かしたんだ
新くんを庇う人や、友人を名乗る人、関わる人全てに嫌がらせをするようになった
それは僕も、歩くんも...みんなが対象だった...
新くんが受けている虐めほど酷くはないと思ってるんだけど、それも中々キツかったかな....
...そして、日に日に新くんの周りからは人が消えていった
それでも、新くんを守ろうとする人が少なからずいたんだよ
その時のクラスのみんながそうだった
今の悠くんみたいにさ...
でも、それを新くんは自ら遠ざけたんだ
守ると言ってるのにってみんなは不思議そうだったし、意味が分からなかった
そんなみんなに向かって新くんは迷惑だと...暴言を、吐き続けたんだ...
そんなことしてたら本当に新くんは一人ぼっちになったんだ
僕も歩くんも、新くんは全てを遠ざけたんだ...
佐伯先輩の魔の手はエスカレートして、遂には暴力を振るうようになっていった
新くんはそれをずっと1人で耐えているんだ
自分と関われば、佐伯先輩から危害が及ぶから...
母親の結婚生活を自分のせいで壊してしまうのが嫌だと、虐めが酷くなっていく中で呟いていた新くんは、本当に他人思いなんだと思うよ...
もう話すこともできないけど、僕も悠くんと一緒に、新くんを守ってあげたい....!
歩くんもきっとそう思ってる....
歩くんが悠くんに対して冷たい言葉を言ったのは、たぶん、羨ましいからだと思うんだ
歩くんだって新くんを守りたい気持ちはあるだろうし、悠くんと話したい気持ちはあると思う
だけど、新くんの過去の気持ちが分かるから、遠ざけた事実があるから、簡単に踏み出していく悠くんを羨ましい反面、嫉妬の感情で見てしまうんだと思う...
だから、歩くんのことを嫌いにならないで....
歩くんは不器用だし、素直じゃないところもたくさんあるけど、ほんとはね、とってもいい子なんだよ
だからお願い
歩くんのこと嫌いにならないで....
悠くんがいいなら、僕も協力するから
歩くんもきっと力になってくれる
だから、一緒に新くんを守ってあげよう
....僕から教えられる事はこれくらいかな
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