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知らなかったこと
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悠の分からなかったことを1つ1つ丁寧に説明したあと、ふぅ、と一息ついた春は、悠を見つめる
「...あ、一気に話過ぎちゃったかな、ごめんね。」
困惑というと大げさかもしれないが、悠の考え込むような表情に気づいた春は慌てながら謝った
大丈夫だよ、と悠が笑顔を見せると、安堵のため息を漏らす
「新の過去も、歩がなんで俺を嫌ったのかも知らなかったから....。歩には酷いことしてたんだな...。教えてくれてありがとう、春。」
知らぬ間にではあったが、歩を傷付けていたのだと再認識するとやっぱり胸の奥がチクリと痛む
ちゃんと会って直接、謝りたい
「酷いことなんてしてないっ。悠くんは知らなかったから仕方ないよ、きっと...!」
落ち込む悠を励ますように前のめりに声をかける
勢いのある春の言葉に目を丸くした後、それがまた嬉しくて思わず笑みが溢れた
「ほんとにありがとう。春、これからももっと、俺にここでの出来事を教えて欲しい。俺と一緒に...新のために協力してほしい....!」
悠の力強い言葉に、勢いよく首を縦に振った
そして微笑みながら、歩くんもね、と呟く
「うん!もちろんだろ!!」
忘れてたでしょー、とイタズラに笑う春の笑顔に、くすぐったいような甘酸っぱい感情で心が染まる
これはきっと、嬉しいって感じてるんだ
まだ新を思う人がいること。初めてこの学園で友達と呼べる人ができたこと。少しだけ、新のことを分かった気がしたこと。
理由は1つなんかじゃなかった
「悠くんはお腹すいてない?良かったら一緒にお昼どうかな...?」
こうやって、人と話すのが苦手だと言った春が自分から、昼食の誘いをしてくれることにも幸福感を感じる
「ぜひ。喜んでっ」
おどけたような悠の返事に、春は顔を赤くしながら笑みを溢す
2人の笑い声がやがて教室からいなくなっていく
この感情、新にも分けてあげたいよ
まだ自分には知らない事だらけだし、春から聞いた感じだと、今から起こす行動はきっと容易なことじゃない
でも、それでも、俺は新の味方になりたい
新を守ってあげたい
大丈夫。春もいる。歩もいる。
待ってて、新。
俺が新の笑顔、取り戻して見せるから
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