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ゴミ捨て
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捨てる...?
何を言ってるんだこの人....
彼は人間なのにまるでゴミを捨てるような扱いに、悠は驚きのあまり愕然とした
『りょーかぁい。ゴミはちゃんと処理しなきゃね』
『んじゃ、今日は俺が持つ』
捨てろという命令のような呟きに、率先して彼を担ぎ上げた1人の生徒は向こう側に見える白い建物に向かい歩き出した
それに合わせて集団は一斉に移動しだす
悠もバレないように一緒に歩き出した
『今日は長くなかった?そろそろ死んじゃうかもよ?新くん』
あらたくん....?
彼の名前だろうか...
『死ねばいいって思ってるけど、殺しはしねぇよ。父さんにもバレないように上手くやってるからな』
会話の内容が恐ろしすぎて、理解に困る
むしろ理解したくない
こいつら人の命をなんだと思ってるんだ
担がれた彼は目を閉じたまま動くことはなく、気絶してるんだと分かってしまうこの状況が恐かった
絶対...辛かっただろうな....
俺が、守れたら....
今日初めて会った彼に対して、何故ここまで気を遣ってるのかなんて気にもならなかった
イジメられてるんだ、彼は。きっと。
誰かが助けてあげなきゃいけない。だから自分がそう思うことはごく自然な事だと考えていた
しばらくして辿り着いたのは
ーーゴミ捨て場。
金網でできた小屋の中には生徒たちが捨てているのであろう袋に入ったゴミが大量に置いてあった
....まさか、嘘だろ.....
彼を担ぎあげた生徒は片手で器用に扉を開けると、ゴミの入った袋の山に彼を投げ捨てた
悠は、目を開いたまま動くことができなかった
1人の抵抗もしない人間を集団で暴行した挙句、ゴミ捨て場に放置していくという事を、楽しそうに笑いながらすることができる目の前の生徒たちは人間ではないと
そう感じた
投げ捨てられた彼はピクリとも動かず、ゴミの山の中で横たわっていた
『ばいばーい、新くーん』
投げ捨てた生徒は実に楽しそうにそう呟くと、あらたと呼ばれた彼に対し手を振る
小屋から出ると外側から鍵をかけた
錠前をかけているわけではないが、外から施錠するタイプのそれは例え彼が目を覚ましたとしても出ることができない
施錠を施した後、生徒らはまた談笑しながら校舎へと戻っていった
悠はまだ消えない背中に目をやりながら、小屋を見る
彼が何をしたというんだろうか
ここまでやられるほどの理由があったとしても、こんなことをしていいわけがない
このまま放置したら本当に死んでしまうかもしれない
悠はもう一度、校舎側へ目をやる
人間のする事とは思えない悪魔のような生徒らの背中はまだ見えるが、もうずっと遠くだ
今なら彼を助けられる...!
遅かったかもしれないけど、傷の手当てくらいは俺にでもできるはずだ
「...今、助けてあげるから...」
そう呟くと悠はゴミ捨て場の小屋に近づこうと決心した
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