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「…で?もう大丈夫なの」
二人の態度からして、上手いこと解決したんだろうけど一応確認してみた。
悠里とか呼んじゃって、何距離縮めてんだよっ!
「ごめんね~心配かけたね紫乃ちゃん」
「べっつに心配なんかしてねーよ!お前が学校来ないと弁当が困るだろうが!」
「俺の存在価値弁当だけなのね…うぅっ」
「気色悪ぃ泣き真似してんなよ」
このくらいの照れ隠しは許して欲しい。心配だったとか言えない、素直になれない俺の悪いとこ。
全部分かってて茶化してくるミチルは優しいのか意地悪なのか。
「まっ!今回は俺の取り越し苦労だったってことで、お手数おかけしました~」
「そんなっ、僕もお手数おかけしました!!」
「僕もお手数おかけしましたってなんだよ、アホか、お前アホなんだな」
「相沢君にだけは言われたくないですっ!」
「だーかーらー、那智って呼べっつっただろーが!アホ!」
那智って案外こういうの気にするよね。名前の呼び方とかなんでもいいって言いそうなのに。
距離を感じるようなことされると地味に傷ついちゃうタイプだ。
「な、な、那智!!…………さん」
「余計なモン付けてんじゃねー!!様なら許してやるけどな!!」
「馬鹿ですよね!相ざ…那智、さん、って、馬鹿ですよね!」
「あぁ?!大体な、なんで相沢”くん”なのに那智”さん”なんだよ」
「僕にも分かりません!」
「やっぱアホじゃねーか!」
「もーくだらない争いはやめてよね!はい、悠里俺の名前は?」
「…しっ、し、紫乃!くん!」
「よーしよしよく出来ました-」
「テメェ!何で俺だけさんなんだよ!おちょくってんのか!」
「なんでそうなるんですか!頑張りますから!那智くん那智くん那智くん!ほら!」
「早口言葉じゃねーんだよ俺の名前は!」
「あらあら今日は賑やかね~」
「あ、おかえり!美佐子さん!」
ギャーギャー言い合っているうちに、美佐子さんが帰ってきた。
美佐子さんは駅前の花屋でバイトをしてるんだ。綺麗な人だから、すっごく様になるんだよ。
「お久しぶりです、美佐子さん」
「お邪魔してます」
「相変わら美人だな!」
「お世辞言っても夕食くらいしか出ないわよ~。ゆっくりしてってね」
ニコニコと穏やかな表情で笑う美佐子さんは、本当に天使みたいだ。これが案外、肝っ玉だったりするんだけど。
ちなみにミチルの顔がハーフっぽいのはお父さんの英次さんの遺伝で、一応クオーターってことになるらしい。
うらやましいよなー。俺だってこんな女みたいな顔じゃなくて、男らしい色気のある顔に生まれたかった。
だから小さい頃は、ジャムおじさんになりたいとか思ってたな。そんで、自分の理想の顔作って取り替えるんだ。
「は、初めまして!篠宮悠里と申します…!お邪魔してます!高…みち、ミチルくんには、仲良くしてもらってます…!」
「あら、お友達が増えたのねぇ。ミチルのことよろしくね」
「は、ははははい!お任せください!」
「任せられるのは俺だっつーの~」
その後は、美佐子さんの上手すぎる手料理をご馳走になって、解散した。
ミチルの料理上手は親譲りだな。俺も美佐子さんみたいな母ちゃん、欲しかったな…。
ま、何はともあれ、これからまたみんなで音楽室で過ごせる!早く学校に行きたいじゃねーか!
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