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「ふ、藤くん大丈夫ですかね…?体調悪かったんですか…?」
「気にするな、童貞病だから。それよりメイクするぞ!ここ座れ!」
「那智くんがしてくれるんですか?」
「おう!任せろ、百合に教えてもらってじっくり練習してきたから。実践もしてきたから安心して良いぞ!」
実践…。百合さんにメイクしたのかな?いや、那智くんならモテるし、メイクをさせてくれる女の子くらいいっぱいいるんだろうな。
どこから持ってきたのか、姿見と机とイスで、簡易的なドレッサーのようなものが作られていた。机の上には、大きな化粧道具箱がおいてある。
メイクを始めた那智くんの顔は真剣そのもので、真顔でジっと顔を見つめられて、なんだかすごく恥ずかしい。もしかして今、顔赤くなってないかな。
よほど連取したのだろう、その手つきはもう慣れたもので、なんだか美容師さんみたいだった。
「悠里の顔メイクしやすくていいわ-。藤の顔面とは大違いだ」
「…え、もしかして実践って……?」
「あ?もちろん藤だ。アイツめっちゃおもしろいんだよ!ちょっとこれ見てくれ!」
思い出したかのようにスマホをズボンのポケットから取り出して、操作したあとにみんなに差し出した。
「「「ブッ」」」
「とにかくブッサイクにしてやろうと思ってさ、眉毛激濃太にして、アイシャドウもノーズシャドウも入れまくったんだよ。仕上げに唇真っ赤にしたらこんなことになって…」
あまりにもみんながゲラゲラ笑うものだから、僕も気になって画面をのぞき込んだ。
ヤバい。全体的にメイクがわざとらしく、濃いすぎて、あの人みたいになっている。そう、ブル〇ンちえみみたいに。
「ブルゾン修也~」
「藤!ちょっとネタ披露してよ!」
ヒーヒー言いながら、紫乃くんが無茶なリクエストをした。藤君はというと、鼻血を出した影響でか、まだ少しボケたような顔をしながらも、嫌そうな顔をしている。
「細胞レベルで恋、してる?」
すると、藤君のかわりにミチルくんが腰をくねらせ手を合てて、首を傾けてそう言う。
「じゃあ俺withBやる!!!」
「俺も俺も!!!」
那智くんと紫乃くんが立候補して、スマホで音楽をかけながらネタを完コピし始めた。
―――パチン
「スカイ!!!」
「オーシャン!!!」
「ブル〇ンちえみ」
「「「ヒーッヒッヒッヒ」」」
思わず僕もクスッと笑ってしまったけど、僕以上に三人は自分たち自身で笑い転げている。
その様子がまたおかしくて、吹き出してしまった。
しばらくすると、ようやく笑いが落ち着いてきたのか、涙をぬぐいながら那智くんがまたメイクを再会した。
目を閉じて大人しくメイクを施されていると、あっという間に終わってしまう。顎を優しく持たれて少し上に上げられた。唇に筆が当てられている感覚がする。最後の仕上げのリップかな。
筆の感覚は無くなったんだけど、顎は捕まれたままだ。まだ何かあるのかな?目を閉じているから何も分からない。…あ、そういえばアイメイクは終わったんだから、目開いてもいいんだっけ。
「っわ?!」
そろーっと目を開けると、目の前にドアップの那智くんの顔が合った。え?!何この近さ!この距離でずっとメイクされてたの?!恥ずかしすぎる…!
なんて一人で悶えていたら、恭哉君がズンズン近づいてきて、僕の顎にあった那智くんの手を掴んだ。…なんか怒ってる?
「いやーごめんごめん、あまりにも俺好みだったからつい?」
「…だめ」
「わかったわかった、しねぇって」
ケラケラ笑う那智くんは、恭哉くんが怒っている理由が分かっているらしい。軽く謝ると、恭哉くんはムスッとした顔のまま僕を振り向いてきた。
「…やっぱり、俺みんなに悠里の女装見せるの反対」
「きょ、恭哉君?」
よく意味が分からなくて、首を傾げる。すると恭哉君は困ったような、悩ましいような顔をして僕の頭を撫でると、ソファーに戻っていった。
なんだったんだろう。
「ほれ、次頭すっから前向け」
「あ、はい」
この前も百合さんに借りたウィッグを袋から取り出して、装着される。透けた黒の髪色は、やっぱり可愛い。
それをコテでゆるく巻かれて、ムースとスプレーで仕上げをされて、女装版・篠宮悠里が完成した。
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