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開票 1
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「なあ、あれが噂の…」
「ああ、最近あいつらと連んでる…」
「「「篠宮悠里…」」」
あちこちから僕のことをひそひそ話する声が聞こえてくる。内容は色々だけど、決してどれも気持ちの良いものではない。
ーーーーー
開票当日、結果が張り出される掲示板には沢山の人が群がっていた。昼休み、お昼ご飯もそっちのけで、みんなイベントのことに興味津々だった。
そういう僕も、恭哉くんたちとみんなで結果を見に来ている。
生徒会の人達が模造紙のようなものを持って、掲示板の前に立つ。
最下位から見えていくようになっているんだけど、なかなか僕の名前が出てこない。
十五位、十四位、十三位………うそ、待って、十位以下じゃないとまずいって…。
僕の願いとは反対に、十二位も十一位も僕ではなかった。
嘘でしょ?!てことは、僕、本戦出場…?!
しかし、十位、九位、八位…と続く中にも僕の名前はない。あれ?もしかして投票数ゼロで、この紙にすら載らなかったとか?
なんだ、どうせそんなことだろうと思った!僕が本戦出場なんてするわけないもんね。
「ほらみんな、音楽室に行きましょ!僕の存在忘れられてるんですよ、多分」
「んなわけねーだろうが!とりあえず本戦出場は決定したけど順位が気になるからまだ行かねぇ」
「だから、本戦なんてありえないですって!きっと僕の票数ゼロで、載ってないだけなんですよ」
「うおっ!!!!」
うるさっ!帰る帰らないの言い合いをしていたら、那智くんが急に大きな声を出した。耳がキーンてする…。
「なんなんですかっ!もう!」
「ほらやっぱり一位じゃねーか!!!俺様がプロデュースしてやったから当然の結果だな」
「え?!」
僕が一位なんてあり得ないあり得ない、那智くんがオカマになるくらいあり得ない!!!!
「う…え……?」
何度も何度も目を擦る。だけど見えるのは全く同じ文字の羅列。
一位 篠宮 悠里 一一九四票
一一九四…いちいちきゅうよん…?いや、せんひゃくきゅうじゅうよん…。
なんかもう何が何だかわからなくなってきて、頭がクラクラする。これは多分夢だ、夢なんだ。
「っし、この調子で本戦も優勝するからな!!!ちゃっちゃと勝ってちゃっちゃと優勝景品もらうぞ!!」
ガクガクガク、動機は不純なものの、やる気が松岡修造ばりの那智くんに肩を揺すられて目が回る。
「大丈夫か?悠里」
「だ、大丈夫…たぶん…」
恭哉くんが心配そうな顔をして聞いてくれるけど、今はちょっとそれどころじゃない。
だって…だって!!!!本戦ってことは、みんなに女装姿を晒さなきゃいけない…!!!!
まだよかった、みんなと出かけるときは僕が男だってバレてないから。でも、男だって知られているのに
あの格好を見られるのは…かなりダメージが大きい…。
当日仮病で休もうかな…。
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