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四時間目前の休憩時間、恭哉くんは一人で教室にやってきた。
「はよ」
「おはよう、恭哉くん」
眠そうに目を擦っている恭哉くんは、寝癖があっても格好いい。イケメンパワーってすごいな。
ポーっと見惚れていると、さっき直接文句を言ってきた人達がいる方向から、痛いほど視線が飛んでくるのを感じた。
思わず顔を伏せたくなったけど、恭哉くんに心配をかけるわけにもいかないから必死で平常心を保つ。
「寝坊した」
「寝癖ついてるよ」
え、どこ、なんて言いながら髪を手で梳かしているけど、全然直ってない。
それなのに満足気な顔をした恭哉くんがおかしくて、クスクス笑ってしまう。
「…とれてない?」
笑った顔のまま頷くと、恭哉くんは席について僕を見上げてくる。恭哉くんの上目遣いはちょっと反則レベルだな…。
「なおして」
「あ、うん」
上目遣いが格好良くて(可愛くて?)、思わず返事が素っ気なくなってしまった。
無防備に頭を差し出してくる恭哉くんの髪は、漫画に出てくる王子様みたいにサラサラだ。
たぶん、そこらへんの女の子よりも綺麗な髪をしてるんじゃないかな。柔らかくて触り心地がよくて、ずっと撫でていたくなる。
「はい、できた」
「ん、ありがと」
はっ。何も考えてなかったけど、あんな忠告?された直後に教室でこんなことしたらまずかったかな…。
そーっと周りを見てみると、みんな何かをしながらも、チラチラとこちらの様子を伺っているのがわかった。
さっき僕のところに来た人たちは、様子を伺うどころのレベじゃない。ガン見というのか、監視というのか、とりあえず目がすっごく怖い。
「…どうした?」
「あっ、ううん、なんでもないです!」
不思議そうな顔をしているけど、恭哉くんたちには絶対にさっきのことはバレないようにしたい。
結局四時間目が始まると、恭哉くんはまた寝ていた。一日何時間寝るんだろう。そんなにいっぱい寝てたら体がダルそうだけど…。あ、もしかして夜が遅いのかな。
「恭哉くん、授業おわりましたよ」
体を揺すると、ん〜…って唸り声は帰ってくるけど、一向に恭哉くんは起きない。
「恭哉くーん」
「んんぅ…」
「ミチルくんがお弁当持って音楽室で待ってますよー」
ピクッ。お弁当という言葉に反応したのか、肩が動いた後に体がムクリと起き上がった。
「おはようございます」
「…ん」
「目、覚めましたか?」
コクリ、まだ寝惚け眼のまま頷くと、目を擦りながら恭哉くんは立ち上がった。
「行くぞ、悠里」
ふふ。いつの間にか、お昼休みも一緒にいるようになったことが嬉しい。
周りからの視線は痛いままだったけど、こうして恭哉くんが僕を誘ってくれるからそんなのどうでもよくなってしまった。
廊下を歩きながら、恭哉くんがポツリと呟く。
「事前投票の時から、みんな悠里のこと見過ぎ」
「ちょっとあからさま過ぎてキツいですよね」
あはは、なんて笑って見せると、恭哉くんは少し拗ねたような顔をした。…なんで恭哉くんが拗ねるの?
「悠里が可愛いのが悪い」
「えっ、僕ですか?…ていうか、可愛くないし…」
「だからあの写真は反対だって言ったのに」
そうだ。那智くんが不意打ちで撮った、あのピアノの下での写真、恭哉くんだけはずっと、投票用の写真をあれにすることに反対していた。
もしかして、僕のことしんぱいしてくれてたのかな。
「ふふ、ありがとうございます。こんなに見られるとちょっと気になるけど。でも大丈夫ですよ」
「…なんかあったら言って」
恭哉くんは本当に優しい。
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