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「でかしたぞ悠里!!!」
体育館の、倉庫側の出口から出ると、那智くんたちが待ってくれていた。
「あ、ありがとうございます!でもまさか、ほんとに優勝するとは思わなくて…」
「これでみんなで旅行いけるね!悠里のおかげ!」
「そんな!でも僕、とっても楽しみです!」
「旅先はどこなんだ?」
「USJだよ!ユニバ!」
ユニバーサルスタジオジャパン!僕、一回も行ったことない!!
あれ…?ミッキーとかはディズニーランドだし、ユニバってどのキャラクターだっけ?
「悠里、おめでと」
「き、恭哉くん!ありがとう…!」
一瞬最後にされた質問が思い浮かんで、気まずく思ってしまう。
「すげぇ可愛いかったけど、ベタベタしすぎ」
「ベタ…?えっ、僕汗かいてました?!ごめんなさいっ…!」
「そうじゃなくて、体育館回るとき。手握ったり頭撫でたり、そんなのしなくてもいいのに」
「で、でも…。みんなから教えてもらったこと、全部やっちゃおうかなって」
「…。那智とミチルにはもう変なこと教えんなって言っとく」
実は紫乃くんもなんだけどなぁ、と思ったけど、かわいそうだから黙っておいた。
「可愛いすぎるから心配する」
「い、いやっ、可愛いくなんかないですって!」
「可愛いよ。悠里は可愛い」
なっ…!!恭哉くんまでホストみたいになっちゃってる…!
嘘だとわかっていても、どんどん顔が赤くなっていく。指の先まで熱くて、沸騰してしまいそうだ。
「…顔、すごい赤いけど。疲れたか?」
「いえ、べつにぜんぜん!」
「そうか?俺も旅行、楽しみにしてるから。ありがとな」
「はっ、はい!」
さっきまでずっと照れすぎて、真っ赤になりながら目線を下げるしかなかったんだけど、そう言ってもらえて思わず笑顔になった。
ちゃんと恭哉くんの顔を見ると、彼も微笑んでくれていて安心する。
「あ!優勝記念にもっかい写真とろーっ」
紫乃くんのカメラで何枚も写真を撮っていると、いつの間にか出口付近に大量の人が集まってきていた。
「俺とも写真撮ってください!」
「付き合ってください!」
「本当に彼氏いないんですか?!」
みんなの声が重なりすぎて、もはやなんて言っているかよくわからなかった。
これだけの人混みの中で僕がもみくちゃになっていないのは、恭哉くんたちがいてくれるおかげだと思う?
「ごめんね〜写真とかそういうの一切なしで〜」
「悠里は女王様だからね!簡単に近づけないんだよ?」
追っ払ってくれているのはわかるんだけど、紫乃くんそれは言い過ぎだよ…。
しかしその言葉の威力は凄かったらしく、若干の不満は残りつつも、みんながおとなしくなっていった。…と思ったんだけど……。
「そ、それなら…踏んでください!そのヒールで踏み台にしてください!」
「罵ってください!ブタ野郎でごめんなさい!」
「ヒヒィイイイン!!」
より恐ろしい言葉がたくさん出てきて、僕はもうお手上げだ。ごめんなさいだけど、ちょっと気持ち悪いです。
僕のドン引いた顔をみて、那智くんは吹き出していた。ちょっと…!笑ってないで助けてくださいいい!
「ごめんね〜、女王はお前らに触れるのも嫌みたいだからさ〜。通り道開けてひれ伏してろだって」
言ってない!言ってないですそんなこと!ミチルくん、なんてことを言うんだ…。
しかも、先程と同じくその言葉は効果的で、みんなが真ん中に道を開けてひれ伏し始めた。まるであの有名な絵画みたいに。
「こりゃ楽でいいな。人掻き分けて音楽室まで戻るハメになると思ってたわ」
そんなのしなくていいのに…!とあたふたしていると、そんなこと言ったらまたさっきみたいに気持ち悪いこと言われるよ、と紫乃くんに囁かれ、閉口した。
恭哉くんが手を引いてくれたので、それに従って歩き出す。
「女王様をエスコートするのは騎士の役目ってね〜」
ニヤニヤしながら僕との恭哉くんをミチルが見ていたので、気恥ずかしくて睨んでおいた。
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