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緊張するな~…。
人生で初めての転校だった。それも高校一年生の冬という、なんとも微妙な時期だ。みんなに変に思われないかな。
今日は新しい学校に初めて通う日で、今は職員室で担任の先生を待っているところなんだ。
これから教室に着いたら自己紹介しなくちゃいけない…。僕はそういうの、凄く苦手。人の前に立つと、緊張しちゃってうまく口が回らないんだ。喋るのだってゆっくりになっちゃうし、どもっちゃうし…。
それに、僕赤面症なんじゃないかっていうくらい顔が赤くなりやすいの。だから、小さい頃はそれでよくからかわれてたりもした。ちょっとトラウマだったりする。
「待たせたな~、行くか。」
僕の新しいクラス、1-C組の担任、山本先生は至って普通の先生だ。漫画やドラマにあるような熱血みたいな先生では無いし、どちらかというと面倒ごとは嫌いそう。
おとなしく後ろをついて行き、教室に到着。
「声かけたら入ってこいな~」
「は、はい」
とうとうこのときが来てしまった。元から少し早かった心音が、さらにバクバクと加速していく。おでこから首筋に冷や汗が流れたところで、先生は中に入って行ってしまった。
教室の外にいても聞こえる、伝わるみんなの興奮。新しいクラスメイトは、どうやら転入生にとても期待しているらしい。
裏切って申し訳ないけど、転入生は僕みたいなモサモサ男です…。
可愛い子じゃなくてごめんなさい…。
みんなの理想と自分が違いすぎて、余計に緊張してきた。ギュッと目を瞑ると、先生の入るように促す声が聞こえた。
体がカチコチで、変な歩き方になりそうなのを必死に我慢して進む。扉を開けて、教室の真ん中まで進んだところで止まる。
マジかよ…なんて声がチラホラ漏れていた。マジです、僕が転入生です。
わかりやすいほどの落胆を見せてくる彼らに、心の中で謝罪をもう一度述べた。
「それじゃあ自己紹介してくれ。」
「…は、はい。えっ…と、か、家庭の事情により、ここに、ひ、引っ越してきました。篠宮、悠里です…。よ、よろしくお、願いします…」
昨日、部屋で練習したときよりはスラスラと言えた。けれどクラスメイト達は、もう既に僕への興味が薄れたらしい。みんなどうでも良さそうに、スマホをいじったりしている。
先生に席を教えてもらって座ると、特に何も無かったかのようにHRが続けられて、そのまま十分休みが訪れた。
僕の席は窓際の一番後ろというなんとも定番な所だ。けれど隣の人も前の人もいない。お休みかな…?
誰かに話しかけてみようかとも思ったけど、結局勇気が出ないまま一時間目が始まってしまった。
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