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「じゃあ行くか」
「…コンビニですか?」
「ああ」
相沢君と高畑君は、本当に完全無視らしい。あくびをしながら立ち上がった桐田君は、フラフラとマイペースに歩き出した。藤谷君と斎原君もその後ろをついていく。
おいて行かれないように、急いで鞄を持って僕も彼らを追いかけた。
…それにしてもみなさん、お気づきだろうか。
最初に僕が一緒にいることを批判して以来、斎原君が話していないことを。
人生ゲームの時だって、喜びが顔に出ていたり、舌打ちしていたりはあったんだけど、基本ムスッとしていて言葉を発さないのだ。
完全に僕のせいだよな…。
ムスっとしながらも一緒に人生ゲームをしているあたり、斎原君はみんなのことが本当に好きなんだと思う。それなのに急に僕が割り込んできて、それは嫌に決まってるよね…。
「紫乃、好きなモン買ってやるから機嫌直せ」
「恭君はずるい。そうやって俺のこともので釣ろうとして」
「釣れてくれよ」
いつまでも話してくれなかったら寂しいだろ、そう言った桐谷君になんとも言えない顔をして、斎原君は飛びついた。
確かに、桐谷君はずるい。人の扱い方を分かっていてやっているのか、それとも天然か。とにかく、人を惹き付ける魅力があることには違いなかった。
みんなのお兄さん的なポジションの藤谷君ではなくて、桐谷君がリーダー的な役割をしているのは、それが由縁なのかもしれない。
結局、斎原君はマシュマロを買ってもらっていた。それを頬張りながら、満足そうな顔をして桐谷君の隣を歩いている。
僕はと言えば、相沢君にお土産を買ったのだった。
コンビニに行きたい、おやつが欲しいと言いだしたのは彼だったし、元はと言えば僕が可愛いなんて言ってしまったが故に、高畑君におちょくられる羽目になったんだ。
どれがいいか迷ったけど、期間限定のシュークリームが出てたから、それにした。
「たっだいま-!」
先程とは打って変わってテンションの高くなった斎原君が大きな音を立てて扉を開けた。
第二音楽室に高畑君と相沢君の姿は無い。もしかして、まだ鬼ごっこの続きやってるの?
みんな、大人びて見えるけど幼いところもあるよなあ。人生ゲームの件にしても、鬼ごっこの件にしても、なんだか微笑ましい。
それぞれ買ってきたものを広げて、午後三時のティータイムを繰り広げていた。
ダッダッダッダッ
「おーやっと帰ってきたかアイツら」
そう藤谷君が言ったけど、何かがおかしいことに気付いた。足音が一人分しかしないのだ。
「失礼しますッ!!すいません、ミチルさんと那智さんがっ…!」
ガラガラ!と派手に音を立てて開いた扉から見えたのは、真っ赤な髪をした男の子だった。
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