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これは…一体何が起こっているんだ…。
赤髪の男の子が音楽室を訪ねてきて、それからバタバタと大急ぎでここに向かったわけなのだが。
僕には起こっていることの半分も理解できていないと思う。まず第一に、なんで鬼ごっこをしていた高畑君と相沢君が喧嘩をふっかけられてるの?
いや、あの二人のことだから相手の人に何か怒らせるようなことを言ったのかも知れないけど…。いや、それしかあり得ない気がしてきた。
とにかく、早く二人の傷を手当てしないと…。僕らがここに到着した時には、二人は既に怪我を負っていた。
倒れている人も立っている人も合わせると、約三十人くらいを相手に喧嘩していたことが分かる。そりゃあこんなボロボロになるはずだ。
桐谷君達も加わって、こちら側が優勢に傾く。この圧倒的人数不利でも勝ってしまいそうということは、桐谷君達は普段から喧嘩をし慣れているのかな?
僕は何も出来ないから、とにかく邪魔に邪魔にならないように、空き地の隅っこでボーッとその様子を眺めていた。
本当は僕だって何か手伝いたかったし助けたかったけど、足手纏いになるのは目に見えていた。
こういう時不力な人が手を出すと、逆に人質に取られたりして厄介なことになるんだ。僕の読む漫画ではいつもそうだ。
だから、喧嘩が終わるまで、僕はジーッとみんなを見つめていた。僕は、なんて、無力なんだろう。
いつだって、何も守れやしない。
「あーまじ疲れたークソ田中のせいで」
「ちょっと何か悪戯してあげとこ~っと」
「ミチル!俺マッキー持ってる!」
「でかした紫乃ちゃん~」
あのときだって僕は何も出来なかったんだ。何も。
守るなんて愚か、苦しんで傷ついたあの人を励ますことも。支えることも。
「グフッ…!ホクロ星人…!」
「ほどほどにしとけな、お前ら…」
「………」
どうして僕は、一緒に戦えなかったの。
「…悠里」
「っっか…あ…き、りたにくん……」
悠里。昔はそう呼んでくれていたあの人の声と、桐谷君の声が重なった。
「大丈夫か。ごめんな、変なことに巻き込んで」
「う、ううん、僕が来るって、決めたことだから…」
「そうか。ありがとな」
ありがとうなんて、何の役にも立っていないのに
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