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「あ、そういえばドタバタしちゃって今更なんスけど、俺時岡佑真っていいます!よろしくお願いしまっす!」
「あ、えっと、篠宮悠里っていいます。こちらこそよろしくです、時岡君」
「そんな!佑真で大丈夫っス!!俺、恭哉さん達の中学の後輩で!スッゲェあこがれてるんです!」
「い、いいの?じゃあお言葉に甘えて…佑真君。僕は、今日ここに転入してきたばっかりで」
「ハイ!悠里さん!そうなんですね!転入初日に会えるとかラッキー!」
「っふふ。時岡君は元気だね」
「元気が俺の取り柄っスから!!」
佑真くんと話していると、こっちも元気をもらえそうだ。
…あ、そういえば、シュークリーム。
冷蔵庫を開けシュークリームを取り出し、藤さんに怪我の手当をしてもらっている相沢君の所へ向かった。
「相沢君、高畑君、大丈夫?」
「俺らにとっちゃあこんな怪我日常茶飯事だからなー」
「そうなのよ~。俺ら、悪い子なの」
”悪い子”そう言った高畑君は、今までにないくらい鋭い目で僕を見ていた。その目がまるで、関わってくるなと言っているようで。
俺らは悪い子だから、お前見たいな奴とは違う人種なんだって。
だから俺らに踏み込むなって。そんなメッセージが込められているような気がした。
困惑して、思わず目を逸らす。下げた視線のまま、コンビニの袋を相沢君の前に突き出した。
「こ、これ…。甘いもの、食べたいって言ってたから…」
「え?!しゅっシュークリーム?!し、しかも期間限定のいちごキャラメルシュー…!!」
「っふ、良かった、気に入ってくれて。食べてください」
「マジか!っしゃサンキュー!お前ちょっとはやるじゃねぇか!」
わしゃわしゃと頭を撫でくりまわされて、元々ボサボサだった髪の毛が更に酷くなって、鳥の巣みたいになってしまった。
「えぇ~那智だけ~?俺には~?」
「えっと、何を買っていいか分からなかったので一応同じものを二つ入れてあります」
まるでさっきのことなんて無かったかのように話しかけてきた高畑君の腹の底は、一体どうなっているんだろう。彼は何を考えているの。
「おっマジか~。冗談で言ってみたのに、篠宮君ってば律儀~。根っからのパシられ気質?」
ここに僕のことを連れてきたのは、高畑君なのに。
僕の頭はゴチャゴチャだった。
「…僕、そろそろ帰りますね」
「まだ六時じゃねーか。どうせなら一緒に夜飯食ってこーぜー」
「おやつ食べちゃったから、あんまりお腹空いてないんです。それと、ちょっと眠たくて」
「ちっそうかよ」
シュークリームで気に入られたのだろうか。ちょっと拗ねているような相沢君を可愛いと思った。
「帰るなら送っていく」
「え、いいです、そんなの」
「こんな時間まで残らせたの俺らだし。ほら、行くぞ」
「あっちょ、ちょっと待ってっ…!」
スクッと立ち上がって扉に向かう桐谷君を、鞄を持って急いで追いかける。
…桐谷君って、足が長いから一歩が大きいよな。低身長の自分と比べて少し落ち込んだ。
「じゃ、じゃあまたっ!」
「バイバ~イ」
「またな」
ヒラヒラとみんなが手をふってくれていて、思わず僕もふりかえした。
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