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1-56 ごめんね
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「のむちゃんは、クリアできたのお?」
「ううん、してないよ!途中ね、後輩×先輩 に発展しそうな何かを見つけてね、尾行してたの!」
「へえ」
「もう僕わくわくしすぎてどうしよう!」
「ほんとどうしようねえ」
どうしようもないねえ、とのむちゃんを引っ張りながら、僕は寮へと向かう。
クリアできなかった、ではなく
クリアしなかった、というのがのむちゃんらしい。
「ねえのむちゃん、」
「何ー?」
「メールがねえ、きたの」
「んー?だれから?」
「一哉からあ」
「えっ」
のむちゃんの驚く声が後ろから聞こえたけれど、振り返れなかった。
「なんて?」
「まだ見てないよお」
「…別れてからどんくらいだっけ」
「もう、半年とかあ?」
もう、と言っていいのか、まだ、と言っていいのか。今の僕には分からないけれど。
「あのね、かわりに見てくれなあい?」
「え、僕が?!」
「うん、おねがい…」
「匠ちゃん…」
本当は。
見ないほうが絶対にいい。良いことなんて書いてあるわけがないって自分でもわかる。
でも、それでも、知りたい気持ちもあって。
「…わかった。携帯貸して!」
「…ごめんねぇ?」
「こういうときは、謝んなくていいんだよ」
僕の携帯を操作するのむちゃんを、ぼうっと見つめていた。
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