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2-9 うそつき
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「あ、響かいちょー…」
「?」
そんなとき、向こう側の渡り廊下を歩く響会長が目に入って、思わずつぶやいた。
僕の目線をたどるように、一哉が振り向く。
ちょっと遠くにいるから、響会長はこちらには気づいていないようで、たくさんの資料を抱えてとても忙しそうに歩いている。
休日なのに、大変だな。
いじわるだけれど、この大きな学園で生徒会長として仕事をしている姿はすごいなあと思う。
「僕ね、あの人のことがすきなんだあ」
一哉をひきずっていると思われたくなくて、うそをついた。
でも、これは僕にとって、必要なうそで、
そして誰も傷つけない、うそで。
「…お前、面食いだね」
「えへへ、かっこいいでしょお。しかも優しいんだよお」
優しくされたことなんて、一度もないんだけどね。
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