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9章(4)
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フレディの手はあいかわらずリノルの頬を包んでいる。
親指が唇に触れて、わずかに動いた。
指の腹が唇の薄い皮膚をなぞり、押し、そっと擦る。
リノルの鼓動は速くなり、口元に置かれたフレディの指の感触がひどく鮮明に、ほんの小さな動きでさえ響くように伝わってきた。
リノルが少し仰のいて目を閉じると、フレディは閉じた唇の間を親指でやさしく押し開き、下唇の内側の敏感な粘膜の部分にまで触れてきた。
リノルは小さく身を震わせたが、身を引かずにじっと目を伏せていた。
「おまえのここ、赤いな……」
のぞきこむように見つめられ、内側をそっと擦られて、リノルは赤くなって視線を泳がせた。
フレディはさらに、人差し指と中指をそろえて口の中にまで挿し込んできた。
なぜか気恥ずかしく、リノルはきつく目を閉じた。
彼は口の奥まで指を入れてゆっくりと舌をこすり、頬の内側の柔らかな粘膜をいじる。
「っ……ふ」
「リノル……」
フレディが低くささやく。
あいかわらず舌をいじりまわし、長い指ではさんで弄んでいる。
リノルは自分が試されているのだと、このまま拒まなければ同意したことになるのだと気付いていた。
「リノル?」
再び返事を促され、リノルは口をふさがれたまま、声と視線の動きで大丈夫だと伝えた。
「ん……」
指が引き抜かれた。
フレディは先刻指で唇を愛撫したのと同じように、今度は自分の唇でリノルの唇を撫で、開かせて、舌で中をやさしく犯した。
リノルはじりじりと押されて、クッションを背にソファに横たわった。
だが、自分の上に彼の重みを感じたとたん、リノルはびくりと慄き、反射的に逃れようとして身をよじっていた。
呼吸が乱れて浅くなり、小刻みに震え始めた。
フレディは驚いたように身を引いて座り直した。
一瞬じっと見つめてから、リノルを引き起こして同じように座らせ、そのまま背後からゆるく抱いた。
彼がなぜそうしたのかはわからないが、体勢が変わっただけでリノルは不思議なほど落ち着きを取り戻し、呼吸が正常に戻ってゆくのを感じた。
「……いやになったらいつでも振りほどいて逃げろ。できるだろう?」
フレディが耳元でささやく。
リノルは頷いた。
そしてそれが、あの男が一度もしたことのない抱擁の仕方だと気付いた。
しかもどういった勘がはたらいたのか、フレディが的確にその姿勢を選び取ったのにも驚いた。
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