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平穏〔4〕#兄 *
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何かが体に触れた気がした。
「…兄さん……」
苦しそうに息をあげながら、誰かが俺を呼ぶ。
うるせぇ。誰だ。…寝かせてくれ。
回転速度を大きく落とした頭の中で、そう朧げに呟く。
身体に力は入らなかった。寝返りをうつことも、指一本動かすことすら出来なかった。
それでも脳は冴えていく。
不明瞭ではあるが、それは徐々にはっきりと。
生々しい感覚へと変わってゆく。
湿った”何か”が肌に張り付く。
その”何か”が、ゆっくりと、ゆっくりと、
時間をかけて動いていった。
くすぐったい。気持ち悪い。
夢か現実かは分からない。ただ、
自分が何をされているのかは嫌でも察しがついた。
頼むから。こんな夢、早く終わってくれ。
何度も、何度も、そう強く念じた。
どのくらいみていたのかは分からない。
「ごめん…。 兄さん。」
長い夢は、そこで終わった。
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