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悪夢〔3〕#兄 *
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体に、熱い蒸気を当てられるような、
腹の上を、小さな動物がじわじわと這うような…
あれ、…
この感じ、前にも一度……
「兄さん…」
ああ、またこの夢か。
クソっ、早く終われ。
想像すらしたくない異様な夢。
その夢に早く結尾がくることを祈りながら、試しに指先に力を入れてみる。
______キシッ・・・
僅かだが、小さな骨の軋みを感じた。
ゆっくりと、ゆっくりと、指を丸めて拳をつくる。
やけにリアルなこの感覚が、ただの” 夢 ”だという確かな証が欲しくて、まだ目覚め切っていない拳に力を込め、時間をかけて握り締めていく。
暫くして、手の平よりも少し膨らみを帯びたふたつの指球に いつもより少し伸びた爪があたった。
その爪を食い込ませるように、更に拳を力ませていく。
頼む。……夢であってくれ。
徐々に、徐々に、
鈍い痛みが神経を通して脳に伝わる。
何も考えられなかった。
いや、
考えたくなかった。
現実なんて知りたくない。
そんなもの見たくない。
それなのに、そんな思いに反して、
重いまぶたは薄く開き、残酷な現実に目を向ける。
「な…、に………………………。
何… し、て……………。」
無意識に口が開いた。上手く音を発せない。
男の動きがピタリと止まる。
少しの間を置いて、
その頭がゆっくりと持ちあげられた。
幼い頃から知っている、見慣れた顔 ………
「お、前……… 。 お前 今、 …何してたんだ。」
目に映ったのは、
” 絶望と憂い ” を合わせ持った…
” 弟 ”の顔だった。
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