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この日
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「なあ」
謎の人物の言葉に、葵の肩はびくっと跳ねる。
怖いのに、瞳をそらすことができない。
そらすことを許さないほどの敵意が、その視線から溢れていた。
まだ誰なのかはっきりしない、敵意を丸出しにする人物が、葵に向かって手を伸ばした。
その時だった。
「何やってるんだよ!!!」
あまりの声の大きさに今までの空気が飛び散り、謎の人物と葵のふたつの視線がその声の主に向いた。
そこに立っていたのは、怒りよりも焦りを滲ませた航の姿だった。
急いで葵のそばまで駆け寄り、葵を庇うように立つ。
「おい兄貴!勝手に部屋に入るなって何度言わせるんだよ!」
航のその一言で葵は気付く。
葵の目の前にたっているこの人物は、イギリスから帰ってきたと聞かされていた航の兄であるということに。
「航…」
「出てけよ」
航の兄であると判明した男が航の名前を呼んだが、航はそれどころではないようだった。
「なんで葵が…」
航の兄が、もう1度葵の名前を呼ぶ。
1度も会ったことがないはずの葵の名前を。
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