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秋の章一 秋渇き(あきがわき)
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「俺がいいと言うまで、自分のモノに触らないで下さい」
「そら殺生やなぁ…」
暢宏は苦笑いで、泣く泣く手を離した。
虚しさを埋め尽くすような、憂さ晴らしの愛撫。
苛立ちをぶつける恋人は、息子に嘘のHIV検査の診断を下し、謝罪をしに行った先で、返り討ちにあった。
妻、日出子の戒めも、優しいものではなかったが、それ以上に離婚しないと分かった後の姿は、見ていても辛くなるほど打ち拉がれていた。
逆ギレと言ってしまえばそれまでだが、言葉では伝えきれない蟠りが淀んでいるのも事実。
それが分かるから暢宏は、“性交”という形で苛立ちをぶつけてくる恋人を、全て受け止めようとした。
頭の隅っこの方で、何してんのやろなぁ、との思いが掠めては消えた。
真人は暢宏の両手首をしっかりと握り、それでも叢に顔を埋めたままだった。
真人の熱い息が腹や性器に当たる。憂さ晴らしと分かっていても、その手練れに反応は隠せない。
暢宏はお預けを食らった犬の気分になった。
「……真人ぉ」
暢宏は思わず宙を仰いだ。
「滅茶苦茶にされるっちゅうより、おもちゃにされてる感じやなぁ」
「愛人もおもちゃみたいなもんでしょ?」
真人は両手の枷を解き、暢宏の陰茎を下から支えるようにして立ち上がると、きっちりと視線を合わせて言った。
「真人は愛人ちゃうやん」
「……じゃあ、何ですか?」
真人が手に力を加えると、暢宏から、うっと呻き声が漏れた。
「真人、俺もう四十過ぎてんねんで。そんなん上向かんやろ」
「そうでもないみたいですよ」
暢宏の性器は真人の手に圧され、じわじわと応えるように反り勃っていく。
「ほら」
真人が、そっと手の中を握ると、熱い欲望は意思を持ち、ピクンと揺れた。真人はもう片方の手で暢宏を引き寄せ、長いキスをした。
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